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永遠に  作者: もんじろう
7/10

7

「プアンダック伯爵夫人の『あなた、怖じ気づいたんじゃなくって?』にレオンが『かもな』と返す」


「………」


「な・ん・だ、こ・れ・はっ!?」


 俺は左手で先生のぼさぼさの髪の毛を掴んだ。


 先生がビクッと震える。


「レオンは男の中の男だ! 絶対にこんな泣き言は言わない!!」


「………」


 俺は52巻を閉じ、53巻の1話「恐怖! ヘモグロビン共和国の罠!」の8ページ目を開いた。


「村娘モンテスキューが眼鏡を外すシーン。意外な美貌にレオンが驚くのを見たエリシアが『大した美人じゃないわよ』と呟く」


「………」


「あのなー」


 俺はギリギリで抑え込んできた不満と怒りが、どんどん膨らんでいくのを感じた。


 そうだ。


 俺はこんなにも。


 こんなにも我慢してきたんだ。


「エリシアはめちゃくちゃ性格が良いんだよ!! こんなこと言うわけないだろ!!」


 それから俺はありとあらゆる「エタウイ」の「あってはならない間違い」を指摘した。


 先生は黙って聞いている。


「そして最大にして最悪なのが最新刊の7話『アカシックオーバーゲイン発動!!』の10ページ目!!」


 俺は机をバンッと叩いた。


 60巻の問題のページを開く。


「レオンはガットウィンブル枢機卿との和解に応じる…」


「………」


 俺は先生の顔に、再び自分の顔をくっ付けた。


 あまりの怒りに頭の血管がドクドクと脈打つ。


「ガットウィンブルはレオンの弟分トキオを殺した犯人だ…」


「………」


「それを知ってるレオンが…常に義のために戦うレオンが…目先の利に走ってガットウィンブルを許すなんて、あり得ないだろうがっ!!」


 俺は怒髪天を突いていた。


 この部分は、どんなことがあっても許せない!!


 絶対にそんな男じゃないんだ!!


「そ、そうだよね」


 先生が口を開いた。


 何度も頷いてる。


「もちろん、君の言う通りだよ。私だって、そう思う!!」


「だったら」


 俺は先生の前にある生原稿を横に動かした。


「?」


 先生が戸惑う。


「だったら何でこんなことになったんだよっ!!」


 俺は先生の頭を掴んで机に叩きつけた。


 大きな音と先生の「がっ!!」という声が、部屋中に響いた。




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