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永遠に  作者: もんじろう
6/10

6

 俺は先生の横を通り過ぎて、奥の扉を開けた。


 ユニットバス、トイレ付。


 中には誰も居ない。


 俺は先生の側へ戻った。


 先生が俺を見上げる。


 机の上には…「エタウイ」の生原稿だ!!


 俺は生原稿に釘付けになった。


「あ、あの…」


 先生が言った。


 そ、そうだ!!


 生原稿は気になるが、俺には今すぐにしなければならない使命がある!!


 俺は生原稿の上を避けて、背中のリュックを机に置いた。


 中から「エタウイ」60冊を出して、15冊ずつ4つの山に並べる。


 先生はそれをただただ見てる。


「俺、『エタウイ』の大、大、大ファンなんです」


 俺は出来る限り冷静な口調で言った。


 先生の顔がポカンとなる。


 そして「ええ!?」と眼を見張った。


「き、君は編集部の人では…ないの?」


 俺は頷いた。


「俺は真の『エタウイ』ファンです」


「ほ、本当に?」


「ええ、俺にとっては『エタウイ』が全てなんです」


「いやいや、そんなことはどうでも良くて」


「どうでも良くないっ!!」


 先生の言葉に俺は一瞬で怒りの沸点に達した。


 先生の胸ぐらを掴んで、お互いの顔がくっつくぐらい引き寄せる。


 先生の青白い顔が、ますます青くなった。


「ちょ、ちょっと!!」


「いいか、黙ってよく聞けよ!!」


 俺は先生をにらみつけた。


「いやいや、君が編集部の人でないなら、そっちこそ聞いてくれ!!」


 俺は右手で先生の顔を掴んで、口を塞いだ。


「黙れ!!」


 俺の恫喝に先生は動きを止めた。


 ようやく俺の話を聞く気になったようだ。


「いいか? これから俺が話すのは、この世で最も大切なことだ。他のどんな出来事も、これよりは優先順位が低い。だから俺を怒らせるな。先生、あなたにとっても絶対に聞くべきことだ。これ以上、話の邪魔をしたら、俺は自分でも何をするか分からない。理解したか?」


 俺の真剣な眼を見た先生は、黙って頷いた。


 熱意が伝わったな。


 俺は先生から、手を離した。


 机の上に積み上げた「エタウイ」60冊に手を伸ばす。


「1巻から51巻までは完璧なんだ。レオンは最高の男でエリシアは最高のパートナー!!」


 俺は52巻の第5話「デビルワンドを探せ!」の4ページ目を開いた。


 先生に突きつける。



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