表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠に  作者: もんじろう
5/10

5

 今の電話の内容から、この家の地下に先生が居るのは間違いない。


 だが、これから警備が強化されるのか…。


 もう、時間の猶予が無い。


 少々、強引な方法を使っても先生と話をしないと…。


 そうだ、「エタウイ」のレオンのように勇気を出せ!!


 ピンチの時ほど、己を奮い立たせるんだ!!


「遊びの時間は終わりだぜ!!」


 俺は西田に聞こえないように呟いた。


 しばらくすると扉が開き、閉まる音がした。


 西田の気配が消えた。


 外から車のエンジン音がする。


 そして走り去っていく音。


 俺は念のため、3分待った。


 それから物音を立てずに、そっと階段を下りた。


 扉の窓から外を見る。


 車がない。


 よし、今がチャンスだ。


 俺は地下室への階段に向かった。


 西田が壁にかけた鉄製の鍵を手に取る。


 これをどこかで使う可能性もある。


 階段を地下へと進む。


 暗い。


 たどり着いた廊下の先の扉から、光が洩れてる。


 通路はコンクリートの打ちっぱなしで少し肌寒い。


 俺は扉の前まで、そろりそろりと歩いた。


 扉は重々しい鉄の扉だ。


 鉄格子がはまった窓がある。


 俺は窓を覗き込んだ。


 中は照明で明るい。


 廊下と同じコンクリートむき出しの、だだっ広い部屋の真ん中に大きめの机が置いてあった。


 左右の壁には本棚。


 大量の本が並んでる。


 部屋の奥側には小さな扉が見えた。


 中央の机には30代後半くらいの男が座り、前屈みになって、必死に右手のペンを動かしてる。


 俺は思わず、ガッツポーズした。


 やった!!


 俺はついに重松先生にたどり着いた!!


 興奮に震える手で鉄の扉のノブに手をかける。


 開かない。


 そこで扉に鍵穴があるのに気づいた。


 上にあった鉄製の鍵を鍵穴に差し込む。


 開いた。


 俺は部屋の中に入った。


 先生が顔を上げて、こっちを見た。


 口を開けて呆然としてる。


 俺は先生に近づいた。


「あ」


 先生が言った。


「新人の方ですか?」


 少し震えた声。


 不安そうな表情。


 先生の顔は、いやに青白い。


 髪はぼさぼさでヒゲ面。


 まるで無人島に暮らす人だ。




 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ