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永遠に  作者: もんじろう
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2

「な、面白いだろ?」


 友達が訊いた。


 俺の瞳の輝きが、その答えだった。


「うおおおおおーーーーっ!!」


 俺は興奮が冷めやらず絶叫した。


 友達のお母さんが何事かと慌てて飛んできた。


 俺は友達の家からの帰り道、レオンの決め台詞「遊びの時間は終わりだぜ!!」を連呼してポーズを決めまくった。


 俺の世界は激変した。


 人生の1番は「エタウイ」になった。


 俺以外にも「エタウイ」のファンは大勢居た。


 そう、日本中に。


 そしてその数は爆発的に増えていった。


 単行本売り上げは毎回、1位。


 アニメ化、ゲーム化、映画化。


 あっという間に国民的アニメの地位まで駆け昇った。


 作品の面白さ以外にも、ファンたちが口にする話題があった。


 それは「エタウイ」の作者、「重松要(しげまつかなめ)」先生のプロフィールが一切、公表されてないことだ。


 写真はおろか、年齢、性別さえも明らかでない。


 皆、いろいろな憶測を並べ、議論を尽くした。


 最後は古代人や宇宙人、別の時間軸から来た説まで出る始末だ。


 俺は正直、先生がどんな人だろうとどうでも良かった。


 こんな素晴らしい作品を産み出してくれた感謝の気持ちしかない。


 それはもう、宗教の神に対するような想いに近いのかもしれなかった。


 最新刊が発売されると当日に買って読む。


 それは最高の幸せだった。


 俺の全ては「エタウイ」になった。


 月日が流れて成人しても、それは変わらなかった。


 運送業に就職した俺は、必要最低限の生活費以外は全て「エタウイ」関連のグッズやゲームに使った。


「エタウイ」が俺の原動力だ。


 他は何も要らない。


 俺が死ぬまで、この生活がずっと続くと思ってた。


 そう、本当にそう思ってたんだ。


 信じてたのに。


 最初はほんの些細(ささい)なことだった。


「エタウイ」の画が変わってきた。


 これはまあ、他のマンガでもよくあることだ。


 マンガ家の先生のタッチが変化する過渡期は必ずある。


 何度も変わる先生も居る。


 だから…まあ…何とか納得した。


 相変わらずレオンはカッコいいし、エリシアはキュートだった。


 今思えば、このときの違和感、嫌な予感は当たってたんだ。


 俺のような真のファンは「エタウイ」愛がどんどんレベルアップして、感覚が研ぎ澄まされていく。


 そう「エタウイ」感覚とでもいうのだろうか?


 とにかく「エタウイ」に関するいろんな事象を素人よりも100倍くらいの早さで気づくのだ。


 





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