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「『エタウイ』を続けたいのは編集部だけじゃなかった!! もう国民的人気マンガになってしまった『エタウイ』は終わってはいけない存在なんだよ!! アニメも!! 映画も!! ずっとずっと続かなければならない!! だから少々…いや、大きくキャラの性格が変わったって、そのまま突き進むしかないんだ!! 続くことこそが、1番重要なんだから!!」
「バカな!!」
何てことだ!!
皆…レオンやエリシアが、まるで違う性格になっても平気だっていうのか!?
そんな…そんなめちゃくちゃあるものか!!
俺の納得いかない表情を見て、先生が続けた。
「本当なんだよ!! 小さな動きはあっても大勢としては変わらない!! 実際『エタウイ』の人気は全く落ちてないだろ!! 不満を感じてここまでやって来たのは、君1人だけだよ!! 世の中は今の『エタウイ』を認めてる!! だから私は解放されない!! それが証拠だろ!!」
先生は猛烈な剣幕で言い切った。
俺は頭がクラクラしてきた。
あり得ない…あり得ないだろ…。
「君は携帯電話は持ってるか!? 地下は圏外だから上に行って、すぐに警察に事情を説明してくれ!! 奴らが帰ってくる前に!! さもないと」
先生がそこまで言ったところで、地下室の鉄扉が大きな音を立てて開いた。
男が4人、ぞろぞろと入ってくる。
前列の3人はやたらと体格が良い。
皆、ぎらぎらとした眼で俺をにらみつけてる。
その男たちの後ろに居る太った男が口を開いた。
「『重松』先生、ダメですよ、逃げようなんて」
「私は『重松』じゃない!! 頼むから解放してくれ!!」
先生が泣きわめく。
「とても上手くいってるじゃないですか。ワガママ言わないで機嫌を直してくださいよ」
「もう嫌だ!!」
先生が机を両手で叩きだす。
「先生!!」
男が慌てた。
「手を怪我したら大変だ!! 君たち、先生を止めてくれ!! それと、あの不審者を捕まえて!!」
男の声で3人が一斉に俺に飛びかかってきた。
我に返った俺は必死に抵抗したが、1人を殴ってる隙に後ろから2人に組みつかれた。
俺は体格と体力には自信があった。
しかし、相手の3人は俺以上にがっしりとして、身のこなしも素人じゃない。
俺はあっという間に冷たいコンクリートの床に押さえつけられ、完全に動けなくなった。
くそっ!!
これじゃ立ち上がれない!!
2人が俺を押さえ、残った1人が先生を止めた。
太った男が先生の側に来る。
「先生、頼みますよー」と男。
「先生がどんなに拗ねたって『エタウイ』は続くんですよ」
男がニヤーッと笑った。
「そう、永遠にね」
先生が机に突っ伏して、大声で泣きだした。
男の視線が俺に移る。
「こいつ…この前、編集部で騒ぎを起こした奴じゃないか!」
どうやら俺を覚えてたようだ。
男が俺に顔を近づけた。
「おい、よく聞けよ!!」
男が大声で言った。
「これからお前にひとつ質問する。その答え次第で、お前のこれからの運命が大きく変わるからな。嘘はつかずに正直に答えろよ。いいな、分かったか!?」
俺は黙って、男をにらんだ。
「お前は」
男が言った。
「画は上手いのか?」
おわり
最後まで読んでいただき、ありがとうございます(T0T)
ホントに大感謝ですm(__)m
怖く仕上がったと思います((( ;゜Д゜)))