四話 魔導書の理由
「ねえロゼッタ」
「ん?」
「私達どこに向かってるの?」
「家だよ〜」
「家?ロゼッタの?」
「うん、もう少しで着くよ」
浮遊していた体が少しずつ落ち始めているのがわかる。そして、いつのまにかサーニャとロゼッタの会話が敬語ではなくなっていた。
ロゼッタの指差す方を見ると小さな小屋があり、二人は小屋の前で着地した。
「ここが私の家!さあっ、お入り〜!」
ロゼッタが扉を思いっきり開けた拍子に風で舞い上がった大量の埃がサーニャ達に襲いかかる。
「ゲホッゲホッゲホッ…なにこれ…」
扉が開くのと同時に魔法でほわっと明かりがつき部屋の全貌が見えた。
部屋は本や服、魔法道具が乱雑に置かれており、何がどこにあるのか分からない状態だ。
ロゼッタのだらしなさがはっきりと現れる。
「いや〜魔道書探してたら結構な年数帰れなくてね〜、探し物とかした後そのままだったりするからさー…元から埃っぽいけど…」
サーニャはそれを聞いて出発の時消えかけていた不安が増した。
ロゼッタは自分のベッドで寝始め、サーニャも寝ようとするが寝る場所が無かったので仕方なく一緒に寝る事にした。
なんだろう…またあの光だ…
そこにいるのは誰…?ねえ…?
「…っは!」
サーニャはいつも見る夢で目を覚ました。
「…ゲホッゲホッゲホッ」
サーニャは数分考える。
無数に物が散乱し埃だらけの景色を見て。
「…あああああああああああっ!」
「!?」
サーニャは思わず叫んだ。
その声でロゼッタは驚き飛び起きる。
潔癖症というわけではないが物が散乱しているのを見るとイラッとくるのがサーニャの性格でありロゼッタの部屋の光景はイラつきを一気に通り越した。
「何!?どうしたのサーニャ!?」
「何じゃないでしょ!よくこんな部屋で生きていけるね!ゴキブリかなんか!?」
「おぅ…サーニャって意外と酷いこと言う…」
「いいから掃除!ほら起きる!」
「サーニャママだぁー」
「うっさい!」
ロゼッタを無理矢理起こし、部屋の掃除を進めたが半分以上はロゼッタの魔法で済みすぐ終わった。
床がうっすらとしか見えないぐらいにいっぱいだった本や魔法道具は片付けられ、部屋の埃っぽさは無くなっていた。
掃除を終えた後、二人は掃除で埃まみれになった身体を風呂場で流し、着ていた服を魔法で洗濯をする。
支度を済ませて朝食を摂ることにした。
「すっきりした部屋で食べるのい〜ね〜♪」
「これが普通なんだけど…なんで魔法使えるのに掃除とかそのままにしてたの?」
「もー!みんなそう言うー!魔法だって体力使うんだよ?」
「そうなんだ…。ところで、なんで魔道書集めてるの?」
「え?かっこいいじゃん」ドャァ
「あー…」(やっぱりこの人について来るんじゃなかった.)
サーニャは呆れ、ため息をついた。
「嘘だって、本当は12冊全て集めるととてもすごい魔法が手に入るっていう噂があってね…」
「それも嘘…?」
「本当!」
「じゃあ次に行く場所は?」
「んー?北の方の町に行くよー。魔道書の反応あるみたいだし」
ロゼッタは古びた地図を広げた。
そして地図に描かれている大きな円を指差す。
「ほら、このおっきな輪っかのどこかにあるの」
「へー」
「早めに取りに行かないと面倒な事になるんだけどね〜」
「面倒な事?」
「うん、魔道書ってね、誰かの手に渡って数時間経つと目印が消えてどこにあるのか分からなくなるの。でも手に取った人が売ったりどこかに置いたり捨てたりするとまた目印が復活するの。まあ地図の機嫌次第なんだけどね…」
「じゃあ運悪く他の魔法使いに渡れば…」
「うん…」
サーニャは揃えた人が普通の魔法使いならいいが、もしその人が悪人だとしたらどうなるかなんとなく察しがついた。
サーニャは地図を見て地図に異変がある事に気付く。
「ねえ…地図の円少しずつ動いてない?」
「え?」
ロゼッタは古びた地図を見る。
地図に描かれている円は少しずつ北の方へ進んでいる。
二人の間に緊張が走る。
数秒進んだ後円は止まった。
「はあー…よかったー…」
二人は安堵した。
「食べ終わったら行こうか!」
ロゼッタはそう言い、サーニャはこくりと頷いた。
朝食を済ませ、北へ向かう準備も済ませ二人は外へ出た。
サーニャはバッグの中に着替えなどを入れバッグを地面に置く。
ロゼッタは必要な道具とサーニャのバッグを魔法で小さなポーチに全て入れた。
ロゼッタはポーチをポケットに入れ、跨っても痛くないように細工されてる一本の箒の上に跨った。
サーニャはロゼッタの後ろに跨る。
「なんか魔法使いみたい…」
「そりゃあそうじゃん魔法使いだもん。でもしっかり掴まってないと落とされるよー」
サーニャはロゼッタに強く抱き着き振り落とされないようにした。
「よし、それじゃあしゅっぱーつ!」
箒はふわっと浮いた後スピードを上げた。
強く抱きついても振り落とされそうなスピードが出ていた為、より強く抱きつき、怖くて目を瞑っていた。
少しゆっくりになったのに気付き、目を開くと森の上を飛んでいた。
「もうそろそろ着くよー!」
振り落とされる恐怖に耐えていてあっという間な気もするが飛び始めてから1時間近く経っており、気づいた時には一つ目の町に到着しようとしていた。