三十七話 猫の仮面
マーガレットは家に入りドアの鍵を閉めた。
マーガレットの家はあまり広くはなく四人だと少し狭く感じる広さだ。
ロゼッタは真っ先にソファに座る。サーニャとミーナはやれやれと思い、マーガレットは部屋の隅にある階段の隣にある食料庫の扉を開け中を確認する。
「あぁ…やっぱりか…っち…すまねぇ…これしかないわ…」
マーガレットは食料庫から缶詰を四つ取り出しサーニャ達に渡した。
コンビーフ缶が二つ、魚介の缶詰が二つ。
「今はこれしかないけど許してくれ…」
マーガレットはコンビーフ缶の蓋を缶切りで開け近くにいたミーナに渡した。
だがミーナは缶切りの使い方がよくろわからず手こずっているとマーガレットはミーナに自分が開けた缶詰を渡した。
「ほれ、コンビーフだけどいいか?」
「大丈夫です…ありがとうございます」
ミーナはサーニャに缶切りを渡しフォークで食べ始める。サーニャは問題なく開けロゼッタに渡そうとロゼッタを見ると既に食べ初めていた。魔法で缶の蓋を開けたようだ。
四人は黙々と食べているとマーガレットが思い出したかのように言った。
「あっそういえばこの家風呂ないからな」
それを聞いたサーニャ達はピタッと食べるのをやめた。
「…それほんと…?」
ロゼッタは恐る恐る聞いた。
「ああ無いよ。少し歩いたところに風呂屋があるんだけど今日は時間的に閉まってるからな」
それを聞いたロゼッタはホッとしたような表情で笑った。
マーガレットはそれをみて疑問に思う。
「おい…どうしたそんな顔して…」
「いやーマーガレットってお風呂に入ってなかったのかなーって思っちゃって」
「入ってるわっ!…っあーもー!いいから早く食って寝ろ!明日は早いからな!」
「はぁーい」
空気は和やかな雰囲気になり缶詰だけの食事だがどこかあったかい感じがするとサーニャは思った。
サーニャ達は食事を済ませ身支度をし二階へと上がる。
「二階は狭いけど今日だけだから我慢してくれ」
二階は一階の半分より少し広いぐらいでバルコニーがある。
ロゼッタが魔法で床に三人分の布団を敷くとロゼッタはすぐさまボフッと布団に仰向けなり寝てしまう。ミーナも布団の上に数分座ると、こくこくと眠そうにしていた。
「すみません…私も寝ます…」
「うん、おやすみー…ふあぁ…すごく疲れたし…私も寝ようかな…」
サーニャは大きなあくびをする。
「それじゃあ、ランプ消すぞ」
マーガレットはベッドの上で横になりながら近くにあるランプの明かりを消した。
スゥっと部屋は暗くなりそれと同時にサーニャは眠りについた。
だが1~2時間程経つと目が覚めてしまう。夢の中でファルスから貰った猫の仮面が出てきてしまい気になって眠れなかった。
すっと起き上がり窓から外を見るとバルコニーにあるベンチにマーガレットが座っていた。
ロゼッタとミーナを起こさないように自分のバッグから猫の仮面を取り出しバルコニーに扉を開ける。
キイィっと音が響きサーニャは少し焦り出す。
その音が聞こえたマーガレットはサーニャの事に気づく。
マーガレットはタバコを吸いながらこっちに来いと言っているかのように手招きを隣に座るよう促した。
サーニャはマーガレットの隣に座る。外は少しひやっとするが寒いって程ではない。空を見上げると霧は晴れており無数の星が見える。
「星綺麗だな」
「そうだね…」
「…眠れなかったのか?」
「うん…マーガレットは?」
マーガレットはふぅーっとタバコの煙を出す。
「ああ、丸一日タバコ吸えなかったしな。んー…しんどかった…もうインシュバートには二度と行かねぇ…」
「ははっ…」
マーガレットは体を伸ばしながら愚痴をこぼすとサーニャが手にしている猫の仮面に気がついた。
「なんだそれ?あそこで買ったのか?」
「うんん、ファルスから貰ったの。自分の記憶の中で一番会いたい人に会えるんだって」
「そうか…そういえば前に親がいないって言ってたもんな…着けてみれば?もしかしたら会えるかもしれないし?」
「う…うん…」
サーニャはファルスが言っていた「見える世界に感情や心を持っていかれないように」という言葉を思い出し着けて大丈夫なのかと不安になる。好奇心と不安の半々の状態だ。
サーニャは深呼吸を二回し、勇気を振り絞り仮面を着けた。




