三十四話 犯人発見!だけど…
鳩は大空の中を飛びインシュバート街の大通りに向かう。
大通りを飛んでいると脚につけた筒がカチッという音を立て外れ地面へと落ちて行く。
筒はそのまま落ちサーニャの頭の上に落ちる。
「いたっ!」
サーニャの頭に落ちた筒をミーナはタイミングよくキャッチした。
「これって…ってサーニャさん大丈夫ですか…?」
サーニャは痛さのあまりしゃがみこんでしまった。
「いっ…つあぁ…なんなの…もう…」
サーニャは痛さに耐えながらもゆっくり立ち上がり睨みながら筒を見る。
「これ、伝書鳩ですよ。誰からなんだろう…」
ミーナは筒を開け紙を取り出す。
「ロゼッタさんからです!犯人の手がかりがわかったみたいです!」
「へぇ…そう…ロゼッタからねぇ…」
ミーナはサーニャの鬼のような表情を見てビクッとした。筒は鉄製だったのもあり当たったらとても痛い。
「…それで手がかりは…?」
「怪盗みたいな服装で髪の色は赤みがかった茶色、目の色は赤でつり目、身長はマーガレットより少し低いですって」
「へぇなるほど…でも服装は変わってるかも…ん?」
「どうしたんですかサーニャさん?」
サーニャは大通りの雑貨屋に目がいった。店の前に立っている人物が手がかりと一致する点があるからだ。
服装は違うがそれ以外は一致する。サーニャはミーナの地図を見る。地図の示す先は雑貨屋だった。
「もしかして…あの人が…」
「サーニャさん…あの人なんですか?」
「多分ね…もう少し追いかけてみる?」
「そうですね…」
二人は尾行をしようとすると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。ロゼッタとマーガレットだ。
「あっサーニャとミーナ!見つかった?」
「うん、見つかったけど…ってあれ?マーガレットは?さっきまでいなかった?」
ロゼッタは後ろを振り返る。さっきまでいたマーガレットがいない。
「あれ?どこいったんだ…あっ…」
ロゼッタは周りを見渡すとある場所を見ていた。
サーニャとミーナも見る。
二人も思わずロゼッタと同じ反応をした。
そこではマーガレットが手がかりが一致する女性に腕を回し何か話していた。
「なあ、嬢さんよぉ…何か探し物かな?私らも探し物をしててねぇ…」
マーガレットの表情は笑っているが怒りの感情が強いのがよくわかる。
「知らないわよ…」
女性はふてぶてしい態度で言う。だがその言葉と態度にマーガレットはイラッと来てしまい女性の胸ぐらを掴み近くの建物の壁に勢いよく押さえつける。
「これさぁ、見覚えないかなぁ?」
マーガレットは女性に懐中時計を見せた。
女性はあっと驚いた顔をした。
「あっ!それ私の…っ!」
女性は思わず口に出してしまいまずいと思ったがもう遅かった。
「ほぉ?これあんたのか?これ私らのホテルの部屋で拾ったんだけどなぁ?」
「マーガレット…もういいよ…」
サーニャが思わず止めに入る。
「あ?なんでだよ?せっかく見つかったのによ…」
「いや…ここは人目が多いし…」
マーガレットはサーニャの言葉にはっと思った。雑貨屋の店員、周りにいる市民はマーガレットの事をじっと見ており注目の的になっていた。
「あっ…あー…わりぃ…場所変えるか…」
四人は慌てながら犯人を連れ路地裏を探し何とか人目は免れたがさっきのマーガレットの行動のせいで保安官に追われているため長くいれない。捕まったら100%マーガレットが悪い事になり女性からは情報が聞けなくなる。
どうにか隠れられて女性の話を聞ける場所がないか走りながら探しているとサーニャはある場所を思い出した。
「私…良い場所わかるよ…!付いてきて…!」
四人は走りサーニャの後をついていく。路地裏をぐるぐると走り回り続けると保安官に見つかり危ない場面もあったが何とかその場所へ着いた。ファルスの店だった。急いで階段を下り物陰に隠れ巡回している保安官が通り過ぎるのを待つ。
「はぁ…はぁ…もう…なんでマーガレット…あんな事するかな…」
保安官がいなくなり一安心するとロゼッタは息を切らしながらマーガレットに問いかけた。
「悪かったって…はぁ…ったくてめぇ…」
マーガレットの怒りは収まっておらず女性の胸ぐらを掴み殴りそうになるとミーナは大きな声で「やめてください!」と叫んだ。
マーガレットはミーナの叫びに殴りかかろうとする手を止める。
「マーガレット…怒る気持ちは分かるけど今は見つかったらまずいから…一旦店の中に入ろう…?」
ロゼッタはマーガレットに言い聞かせた。
マーガレットは女性の胸ぐらを掴む手を離しサーニャは倒れそうになる女性の体を抑え倒れないようにする。
「…っち…わかったよ…」
四人は空気の気まずい状態でファルスの店の中へ入った。




