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第2話 半妖倶楽部

倶楽部を作る?花子ちゃんが?


「そうと決まれば善は急げよね!早速私の家に行くわよ!」


え?花子ちゃんの家?花子ちゃん家持ってるとか初めて聞いたんだけど?

どこかの小学校のトイレに勝手に住み着いている

という事じゃなくて?


「何となく失礼な事考えてるのは分かるわ」

「花子ちゃんごめん」


まあ、とりあえず花子ちゃんについていけば何か分かるでしょ。

私は「ついて来なさい」と言いながら部屋から出て行く花子ちゃんを無言で追いかけたのだった。


「私の家のトイレじゃん」


一階まで降りて外へ…行かずに私の家のトイレの扉の前で止まった。

まさかトイレの中で部活動するの?


「ほら!開けてみなさい!」

私の後ろに回り込んでぐいぐいと背中を押してくる。

開けてみなさいって…

開けたってトイレしかないんだけど?


とりあえずドアノブを回してトイレの中を見る。


薄暗い


目の前には和式トイレ


その向こうに鍵がかかったかんぬき扉が見える


おかしい


そもそも家のトイレは洋式だった筈だ


しかも扉を開けた先に見える扉もおかしい


元々そこには壁と小さな窓があった筈


ガチャリ


和式トイレの先にあったかんぬき扉の鍵がひとりでに開く。その扉の先には…


「いらっしゃいユキちゃん!待ってたわよ!」


さっきまで私の後ろにいた花子ちゃんが出迎えてくれた…


…もう深く考えるのはやめとこ。


「ほら、そんなとこで突っ立ってないで早く上がって上がって!」

花子ちゃんにそう促されたので仕方なく謎の和式トイレの部屋に入り、その先の開けられた扉から外へと歩いていく。


「いらっしゃい!我が家へようこそ!」


「やっぱり女子トイレじゃん!」


扉から出た先を見渡す。

さっきまで昼間だった筈なのにこの部屋は薄暗く、窓の外は真っ暗だった。電気の明かりすら付けられていない。

複数あるトイレ。低めに設置された手洗い場。出入り口から見える教室。間違いない。

ここは小学校の女子トイレだ。


「違うわ。この女子トイレ含むこの学校全てが私の家よ」


え?


「聞こえなかった?この女子トイレ含む


こ の 学 校 全 て


が私の家よ。学校の設備が使い放題なのよ、最高でしょ?」


「マジで!?」

それってつまり


グラウンドで謎の粉で線を引く装置を持ってめちゃくちゃに線を引きながら走り回れるし


図書室の本や漫画が読み放題で


音楽室の楽器は鳴らし放題


家庭科室の無駄に広い調理場でストレス無く沢山料理が作れる上に


保健室のベッドは使い放題などなど…


学校の設備を自由に使えるなんて、まさに夢のようなお家だ!

最高だ!


「その通り!ユキちゃんはこのお家の良さが分かってくれるとおもったわ!」


「イェーイ!!」


思わずテンションが上がり花子ちゃんとハグする。


何故私の家のトイレからこの学校につながっているのか?何故外は暗いのか?この学校はどうやって手に入れたのか?

そもそもここは何処なのだろうか?


そんな疑問があった筈なのだが、学校のお家があまりにも素晴らしすぎて質問する事をすっかり忘れてしまった私であった。




「さて、まずは倶楽部の名前を決めるわよ!」

女子トイレから出て、近くにある一年生の教室に入った(ここも電気が付かず、薄暗かった)。

椅子や机が一切置かれていないすっきりした部屋で、私達は本題である部活動について話し合っていた。まずは名前から決めるらしい。

「もう名前は大体決まっているのよ!」

そう言いながら花子ちゃんは黒板に駆け寄り、白いチョークを取り出す。

そして黒板に大きな文字を書いていく。

一文字書く事にチョークの色を変えているから無駄にカラフルだ。

「半妖怪倶楽部…は名前がかっこいいけど少し物騒かしら?」

半妖と倶楽部の文字の間で悩む花子ちゃん。

「そもそも怪ってどうやって書いたかしら?」

倶楽部という難しそうな漢字は書けたのに怪の字はど忘れしたの?

「まあいっか!半妖倶楽部の方がスッキリした感じがするわよね!よし、半妖倶楽部に決定!」

「カッコいいね!ちなみに半妖倶楽部って何をする部活動なの?」

私が花子ちゃんのセンスを褒めつつ疑問を口にすると、花子ちゃんはチョークを置き、私の近くに駆け寄る。

「半妖倶楽部って言うのはね、妖怪と人間のハーフ、つまり半妖だけが集まり半妖の知識や情報を交換しつつみんなと仲良くなれる素敵な倶楽部なのよ!」

「私以外にも半妖が居るの?」

「居るわよ。数は少ないけどね。

でも大丈夫よ!」

そう言うと花子ちゃんは教室の窓を開け、窓から真っ暗な外に出る。

「何処いくの?」

「決まってるじゃない!倶楽部にはそれなりに人数が必要、つまり半妖倶楽部に入ってくれそうな半妖を連れてくるの!とりあえず友達の半妖全員連れてくるわ!」

そう言うと花子ちゃんはその場で大ジャンプ!

もの凄い勢いで飛び、真っ暗な空へと吸い込まれていった。

花子ちゃん大丈夫かな…


花子ちゃんを待つ事約10分。トイレの方がざわざわと騒がしくなってきた。

「とりあえず黙って歩きなさーい」

普通に教室の扉を開けて帰って来た花子ちゃん。その後ろに黙ってついてくる4人の人間っぽい人達。もしかして花子ちゃんが言っていた半妖なのかな?

学ランを着た赤黒い髪で体ががっしりしている背の高い男性。

セーラー服を着た青に近い黒の髪のそれなりにスポーツをしてそうな引き締まった体をした少し背の高い女性。

少し離れて歩いて来る黒いパーカーと黒いズボンを着たショートカットより少し長めのかみを後ろで纏めてゴムで結んでいる黒髪の私の身長より少し低めの男の子。

最後に入ってきた制服のブレザーを着たふんわりした癖っ毛のあるショートカットの栗毛色の髪の身長が一番低い女の子


連れて来られた4人と少し離れて向かい合わせに立つ花子ちゃんと私。


「で?俺たちを集めて一体何すんだ?」

黒パーカーの子が発言する。

もしかして花子ちゃんは何も説明せずにこの4人をここへ連れて来たの?

「大丈夫、私に任せなさい」

私に小声で囁く。そして正面にいる4人に…


「みんな!半妖倶楽部にようこそ!私達2人は先輩としてみんなの入部を歓迎するわ!」


「「「「?!?!」」」」


強制入部!!?

みんなびっくりしてるし…ってか私先輩扱い!??


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