第1話 高校一年生!
私の名前は白雪幸。
季節は春、私はピカピカの高校一年生になった。
入学して一ヶ月にも満たないある日の事…
「やばーい!遅刻するー!!」
私は真新しい学生鞄を右肩に掛け、長い髪を左に結ったサイドテールを揺らし、弁当を右手に持ち左手に水が入った水筒を掴みながら高校へと続く通学路を全力疾走していた…
なぜこうなったのか?と言うと
〜昨日〜
学校から家に帰る
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夕飯食べる
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お風呂(ぬるま湯)に入る
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今日は久々に花子ちゃんの修行が無い日なのでテンションが上がり朝までDVDの魔法少女!ライトアカリちゃん!を初代から見る
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魔法少女!助けてライトアカリちゃん!(映画)の感動的なラストシーンを泣きながら鑑賞中に
母「いつまで寝てるの!そろそろ起きないと遅刻するわよ!」
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いつの間にか朝だ!
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慌てて着替え、鞄を持って玄関まで走りお母さんから弁当と水筒を受け取る
↓
今ここ
完全に自業自得である。
そう、私こと白雪幸は
魔法少女に憧れる系半妖雪女小学生から魔法少女アニメオタク未満それなり最強系半妖雪女高校生にグレードアップしていたのだった…って考えている場合じゃないのに!
もう通学路には誰もいない、周りを見渡して改めて自分がピンチである事を自覚する。
まだ敵すら居ないのに勝手に自滅してピンチになるとは一体…
(って言うかいつもうるさく鳴り響く目覚まし時計はどこいっちゃった…あ)
時計の辺りでようやく思い出した、今日は確か…
急ブレーキして立ち止まる。両手に持っている荷物を鞄の中に入れ、鞄の中からスマホを取り出してカレンダーを見ると
祝日
そう、昨日は
「明日は休みだし時計のタイマー要らないよね。それにDVDに夢中になってる時に目覚まし鳴ったら台無しだし、あの時計止めとこ」
と思い時計のタイマーを自分で止めたのだった。
私は半妖であるせいなのか毎日寝なくても大丈夫。だけどたまーに気分的に寝たい日もあるのでいつ寝ても大丈夫なように時計をセットしているのだ。
私は祝日だって分かっていた筈だったのに…
お母さんまたやらかしたね?
「ユキちゃん何やってんの?」
後ろから聞き覚えのある声がする。振り返るとそこには
黒いセーラー服を着た髪型がおかっぱのかわいい女子高生が片手に齧った板チョコを持って立っていた。
花子ちゃんだ
「あははは!相変わらずユキちゃんのお母さんはおっちょこちょいよね〜!」
「ほんとだよ…これで一体何度目なのか私にも分からない、ってかそれに引っかかる私もお母さんの事言えないけどね」
流石に祝日の日に高校の制服着て弁当と水筒持ったまま街へ遊びに行く勇気は今の私には無かった。
なので私は花子ちゃんを連れて自宅へ帰り、(お母さんは「またやっちゃった…ごめんね」と謝ってきた)二階にある私の部屋でお母さんがお詫びにとくれたお皿に入ったおかしの盛り合わせを食べながら軽いおしゃべりをしていた。
花子ちゃんがセーラー服姿なのでなんとなく私も制服のままだ。
「ところで高校生活はどうなの?」
花子ちゃんがお菓子の中からチョコレートのみを選んで取り出しながら聞いてくる。
「まだ入ったばっかりだけどそれなりに楽しいよ。」
「友達100人できた?」
「小学生じゃないんだから…」
今目の前で子供っぽい質問をしながらチョコレートを食べるこの人物は、私の師匠であり友人、そしてあの学校の怪談で有名なトイレの花子さんだ。トイレの花子さんはそれなりに沢山存在するらしく、(性格も力も違うらしい)その中で一番力が強くて一番最強(自称)なのがこの花子ちゃんらしい。
喧嘩慣れした大人10人が花子ちゃんに襲いかかっても
わずか数分で相手はボロボロ、花子ちゃんはほぼ無傷でいられる程度には強い。
そんな見た目は高校生、中身は小学生の最強物理妖怪花子ちゃんの興味は高校生活から部活動の話に。
「ねぇ、どんな倶楽部に入ったの?」
「帰宅部」
「え?もしかして部活動してないの?アニメオタクなんだからせめてアニメ研究部とか入ればいいのに」
「いや、私はまだオタクになれる程の腕前じゃないから…」
「毎回思うけどそのオタクに対するこだわりって何なのよ…」
せっかく高校生にもなったのに何の部活にも入らないなんて勿体ないわねーと呟きつつ、腕組みして眉間に皺を寄せながらこちらを見つめる花子ちゃん。逆に思うけどその部活動に対するこだわりはなんなんだろうか。
部活動は入りたくない訳じゃなくてピンと来る物が無いだけで特に嫌いって訳じゃないんだけどね。
なんて考えつつ花子ちゃんを見てると、さっきまでの難しそうな顔から急に驚いた顔へ変わり、薄気味悪い笑顔に変わる。
あ…この顔はまさか…
花子ちゃんまた何か思いついたね?
「ユキちゃん!私ユキちゃんが気にいるような面白い倶楽部作るわ!!」
「え?」
倶楽部作るってどういう事?