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転生システムに致命的エラーを発見してしまったのだが  作者: みももも
第零章

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山龍討伐二日目(4)

 マテラの案内で早速向かった次の狩場でも、回復魔法の出番はなかった。

 というか、基本的に自分には役割がなかった。


 全長10メートル程の、いわゆる『小型』の山龍が5〜6体の群れを相手に今度はクロヒメさんが挑んだが、やはり何事もなかったかのように軽々と片付けてしまった。

 特に派手な技を使うとかでもなく、それどころか武器のようなものを取り出すこともなく、自分の何倍もの大きさの山龍相手にまるで華麗な舞を踊っているかのようだった。

 そのまま見惚れていると、1分程で山龍の群れを片付けてしまい、その辺りから「任せておけば大丈夫かな」と言う気持ちが「手伝おう」と言う気持ちを上回った気がする。


 マテラとライアも似たようなことを感じたのか、気づいたらマテラは分身と入れ替わっていた。

 想力のオーラが変色していたので尋ねてみると「よくわかりましたね。 さすがチシロさまです」などと言っていたが、まあ自分に二人の行動を制限する権限があるわけでもないし、好きにさせておこう。

 というか、分身でも会話は普通にできるらしい。

 ちなみにライアも本体はフードの中にいて、今は二人で『秘密兵器』を作っているらしい。

 こっち(ライアの方)は言われるまで気づかんかった・・・。



 ちなみに、道中何度か野生の魔獣と遭遇することはあった。

 ライアは『探知魔法』という魔法を使ってそういった魔獣の場所を探し出しているのだが、時々その魔法にも反応しない種類の魔獣もいる。

 ライア曰く「まだ試作段階ゆえ、精度の保証はできぬ」ということらしい。


 そんなわけで、魔獣と出会ったら全力を込めて(無駄だと知りながら)先制攻撃をするのだが、まあいつもの結果(ノーダメージ)に終わる。

 そのまま双子のどちらか(シロヒメかクロヒメ)分身コンビ(マテラかライア)に頼んで退治してもらってもいいし、そもそも攻撃してもなぜか敵対されていないから、基本的にそのまま無視して先に進んでしまっても問題はない。

 というか、双子のどちらかが近くにいると襲いかかってくるのに、自分一人の場合は無視されているのは、魔獣にとって「放っておいても脅威ではない存在」だと思われているのだろうか。


 ぐぬぬ・・・。


 その後も何度か魔獣と遭遇しながらも、移動する → シロヒメさんが討伐 → 移動する → クロヒメさんが・・・

 ということを繰り返し、一時間ほどで50体近く討伐を終えたあたりで、一度休憩を取ることになった。


 あちこち走り回った上に激しい戦闘を続けていたはずの双子姉妹は息を切らすこともなく平然としていて、マテラとライアに至ってはそもそも分身なので疲れるはずもない。

 ただ、前世で現代社会に生きていた自分には山を駆け回るだけの体力などないうえに、魔獣に対して全力攻撃(無駄な行為)を繰り返していたせいで、成果ゼロの自分だけが息を切らしているという情けない状況・・・。


 はい。 後悔してます・・・。

 とりあえず、これ以上足を引っ張るわけにもいかないことだし、次からは魔獣を見ても可能な限り無視することにしよう!

 どうせ、魔獣からは無視されてるわけだし?

 べ、別に、無視されてさみしいとか悲しいとかじゃないし!?


 気を取り直して。

 休憩ついでに、マテラ(分身)が持っていた地図をみると、この辺りの山龍は大方討伐が終わったのか、赤い点がほとんどなくなっている。

 ただ、周りを見ると山龍マーカー(赤い点)はまだ大量にある。 この数時間で結構な数の山龍を討伐したと思うけど、全体から見た割合ではまだ1%にも満たないのではないだろうか。


「ま〜、序盤としてはこんな感じでしょう〜。

 それにしても、聞いていたよりもずいぶん数が多いですね〜」

「チシロさん、これから少しペースを上げるんだぞ☆

 だけど、疲れたら無理をする前に伝えて欲しいんだぞ☆ その時はすぐにまた休憩を入れるんだぞ☆」

「はい、気遣いありがとうございます。

 自分が言うのもなんですが、お二人も無理はしないようにしてください。

 こっちはこっちで、無理をしないようにしますので・・・」

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