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転生システムに致命的エラーを発見してしまったのだが  作者: みももも
第零章

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山龍討伐二日目(幕間1)(1)

「アウラ、アウラ! 大変や! 大変なことになったで!」

 精霊車の中の一室で仮眠をとっていると、ガストフさんが扉を開けて部屋に押し入ってきます。

 念のため一人ずつ交代で見張りをしながらそれぞれ朝まで待機をしていたのですが、精霊車周辺に張ってある簡易結界が崩れた様子はありませんし、襲撃などがあったわけではなさそうです。


「どうしたんですか?

 まさか、『ギルド』から発表されたクエストに面倒な条件でもついていたとかですか?」

「そうやない! いや、それよりもっとひどいことになっとる!

 『赤き農民』の奴らがどんな手を使ったのかは知らんが、たった今『ギルド』から『クエストの発行は見送ることとする』って連絡が届いたんや!

 しかも、確認したら『山への立ち入り禁止令』まで発令されとる! これやと、チシロさんの救出すらできん状況や!」

「そ・・・、そんな・・・?

 そんなことがあるんですか!? だって、山龍が、確認されただけで3000ですよ!?

 今すぐに『緊急クエスト』が発行されていてもおかしくない状況だというのに・・・」

「アウラさん、ガストフさん! 大変・・・です!

 たった今ギルドから発表された情報に、よりますと・・・、山への、立ち入りが・・・」

 ガストフさんに続いて、ラビさんも部屋の扉を開けて飛び込んで来ます。


「ああ、ラビさん、ちょうど良かった。

 私とガストフもそのことを話していました。

 それで、『ギルド』はなぜクエストを発行しないのですか?」


「それが・・・、詳細は不明なのですが・・・。

 『ギルド』の説明によると『三日間の猶予期間を設ける』、とのこと・・・でして・・・」


 ラビさんの説明によると、土地の所有者(赤き農民)側に「独力で解決できる実力がある」と判断されたため、クエストの発行まで一定の猶予期間をもたせたということらしいです。

 三日間のうちに解決の兆しが見られなければ、『赤き農民』にはペナルティが課せられ、予定通りクエストは発行され、立ち入り禁止も解除されるとのことですが・・・


「解決の兆しって、何をどうすれば認められるんや?」

「どうなんでしょう・・・。

 山龍を何体か討伐するとかでしょうか」

「アウラさんの言う通り・・・です。

 ギルド側が今回提示している『解決の兆し』は、『正確な調査』と『該当生物の2割を討伐』の二つが指定されて・・・います。

 今のところ、私たちで確認した山龍だけでも、3000以上・・・。 ですので、最低でも600体以上の討伐・・・と、いうことに・・・・」

「三日間で600体やて!?

 聞いた話やと山龍ってのは、一体狩るのに10人掛かりで半日かかるはずや。

 それを三日!? それは無理ってぇ話・・・。

 あぁ、そうか、例の傭兵どもか・・・」

「おそらく、ガストフさんの言う通りでしょうね。

 軽く手合わせをしただけですが、相当な実力の持ち主がしかも二人。

 三日間で600体以上の山龍を狩ることが不可能ではないと判断されたのは例の二人が原因で間違い無いでしょう」


 まあ、実際のところ、本当に山龍を狩りきれるかは微妙なところなのでしょう。

 山龍が大量に確認された洞窟も、探索魔法で見ただけでもかなりの広さがあり、出入り口も一つや二つではありませんでした。

 探索魔法を使った時には大量の山龍が洞窟内に確認されましたが、おそらくそれでも全体の三割程度で、残りは他の洞窟や、地上をさまよっていると思われます。

 『ギルド』側も、最終的にはクエストを発行することになると思われます。

 問題は、それが魔術契約の期間に間に合うということなのですが・・・。


「ところでラビさん、テンキさんの姿が見当たらないのですが、今彼はどこに?」

「テンキさんは・・・、山への立ち入りが禁止される直前に、山の結界内に飛び込み・・・ました。

 結界内なので今は、連絡が、取れません・・・。

 ですが、転送用の道具は渡してありますので、外に出ることはいつでもでき・・・ます」


 さすがテンキさん、グッジョブです!

 山への立ち入りが禁止されていても、もともと山に入っている人に対しては有効ではありませんからね。

 おそらく、冒険者としての独自の情報網で、一瞬早く山が封鎖されることを知ったのでしょう。

 ギルドの公式情報は、発表される数分前に裏ルートで公表されるという話を聞いたことがあります。

 長くハンターを続けていると、自然とそういう裏技も身につきますし、一流のハンターはそういった情報を見逃さずに即座に行動ができるということです。

 これは、見習わないとダメですね。


「しかし、困ったな。

 チシロたちを探すのはテンキ一人に任せるしかないとしても、その間わいらは何をしとればええんや?」

「そうですね。

 ラビさんとガストフさんは『ギルド』に対して『山龍討伐』の申請を継続的に行いつつ、精霊車周辺(このあたり)の警戒を行っていてください。

 私は、例の二人組対策に、手札(カード)の補充を行います。

 精霊車の中にいますので、動きがあったら伝えてください」


 普段使う魔道具は、カードの状態でも長持ちする工夫や、再利用できる仕組みを取り入れているので出力が落ちるのですが、今回は使い捨てが前提なので、そのぶん性質を特化させたり威力を増加させたりすることが可能になります。

 そこまでしてもあの二人組に通用するかは微妙なところですが、いずれにせよ山龍を討伐するのにも手札は必要なので、多めに作っておくことにしましょう。


 見張りや事務作業(面倒な仕事)をガストフさんとラビさんに押し付けることになってしまいますが、二人とも「はい・・・任せてください!」「りょーかいや! 任しとき!」と、快諾してくれました。

 二人のためにも、そして、助けを待っているチシロさんやマテラちゃんのためにも、全力で準備に取り掛かることにしましょう!

 打倒! 件の用心棒!

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