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転生システムに致命的エラーを発見してしまったのだが  作者: みももも
第零章

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山龍討伐一日目(19)

 白黒姉妹について行くと、会議室は慌ただしい様子だった。


 やり取りされる会話を聞いてみると、『ギルド』から「山龍の大量発生が観測された。 近いうちに討伐クエストを正式に発行する」と連絡が来ているらしい。

 『黄金(くがね)』や『赤き農民(あかきのうみん)』なども一つのギルドだが、それらを統括する『ギルド』(正式には『ギルドギルド』)という名前のギルドが存在し、ギルド間の取引などはすべてその『ギルド』を通して行われるのだとか。


 龍種などの希少種は『ギルド』の許可を得ずに討伐すると違法となり、ペナルティを受けることになるが、異常発生などが起きた場合は今回のように『ギルド』直々にクエストを発行することもあり、当然その場合はペナルティが発生しない。

 また、クエスト遂行時に起きた他の被害(農地を荒らされるなど)も大目に見られる傾向があるが、特に補償などがあるわけでは無い。

 そのため、地元民からの評判はあまり良くないらしい。


 『ギルド』からのクエストは、達成報酬としてもらえる金額は少なめだが、代わりに、獲得した素材などはすべて討伐した人のものとなる。

 山龍などの『龍種』から獲得できる素材は優秀なものや希少なものが多いので、クエストが発行されれば多くの個人やギルドが参戦してくると考えられる。


 とにかく、「山龍が発生した」という情報の真偽を確かめる意味も含め、早速『赤い羅針盤』のメンバー数人が先遣隊として数名が調査に向かっており、中間報告も幾つか上がっている。

 彼らの報告によると、山の洞窟には数千近い山龍の反応が確認できた。

 また、森の中に山龍に倒されたと思われる獣の姿も確認されており、山龍の一部はすでに洞窟から外に出て森を徘徊している可能性が高いという。

 ただ、『赤い羅針盤』が寄せ集めに近いギルドであるためか、情報が錯綜していて、何が真実なのかはっきりしていない。


「揃ったか? よし。

 まずは、集まってくれてありがとう! さて・・・」

「集まったのは、やっぱり例の『山龍の件』ですか?」

「山龍が出たって、俺たちの安全は確保されているのか?」

「ギルド側からの説明はどうなっている!? クエストはまだ発行されていないようだが・・・」


 『赤き農民』のギルドマスターが説明を始めようとすると、それを遮るように『赤い羅針盤』のメンバーたちから質問が飛び交う。

 もう少し落ち着いて話を聞こうぜ? とは思うけど、山龍などの龍種は安全な存在とは言えないらしく、戦闘力の低い探索系ギルドのメンバーからしたら危険な存在になるので仕方がないのかもしれない。


「落ち着け、今からそのことについても説明をする。

 まず、状況の説明だが、30分ほど前『ギルド』から、『山龍の大量発生を確認した』という連絡が来た。

 『ギルド』側は、『山龍は増えると危険だから一刻も早くクエストを発行したい』と言っていたが、俺たちが『少しの間待ってほしい』と説得したら、猶予期間を設けてくれることになった。

 それと、お前らの安全についてだが、今の所『結界の中にいる限りは安全』ということは保証できる。

 だが、できればこの拠点内から外には出ないでおいて欲しい」


 『赤い羅針盤』のメンバーのうち、非力そうなメンバーはなおも心配そうにしていたが、粗暴なハンターに山を荒らされる側のギルドの気持ちもわかるのか、しぶしぶ納得している感じだ。


「『ギルド』側からは、三日間の猶予と、先行して山龍討伐を行う許可をもらっておいた。

 だが、期限内に状況が改善しなければ容赦なくクエストを発行するとも言っていた。

 探索ギルドと双子には山龍の調査、討伐、そして『人探し』をしてもらいたい」


 人探し?

 山龍の調査、討伐と同列に並べられる人探しって?

 と思ったけど、それ以上詳しい事情は話そうとしなかった。


 なにか後ろ暗い事情でもあるのだろうか。


 ただ、もう少し詳しくはなしを聞くと、なんでも、外から入ってきた冒険者が一人、結界内で消息を絶っているらしい。

 人相は、フードをかぶっていたため不明だが、山の中で一人で行動しているはずだから、見かけ次第確保してほしいということだ。


 自分たちは白黒姉妹の推薦によって山龍の討伐をするグループに割り当てられた。

 戦闘力を当てにしているというよりは、「結界で道に迷った時のため」という感じだったが、特に誰も文句は言わなかったので、明日からも白黒姉妹と一緒に行動することになりそうだ。


 それ以外のメンバーは、大まかに分けると山龍の討伐組が2割、山龍の調査組も2割。

 残りの6割は、全て『人捜し』に割り当てられるらしい。


 なんか、割合的に違和感を感じる構成ではあるけれど、おそらくこれは、「迷い込んでしまっただけの部外者を巻き込みたくない」という考えなのだろう。

 実際、もし仮に、自分がそんな危険生物(山龍)が大量発生している山に迷い込んだと考えると・・・。

 想像するだけで恐ろしい。 遭難者が無事に保護されると良いのだが・・・。


 現在までに確認された山龍だけでも3000近くいるらしい。

 おそらく、これから調査が深まるにつれて更に数は増すことだろう。


 討伐メンバーの全員(自分を除く)は、山龍相手にも十分戦える戦闘能力を持っているらしいが、それでも短期間で山龍を全滅させるというのは現実的では無い。

 だけど、少なくとも数百体討伐できれば、『ギルド』側が設定した猶予期間を延長できる可能性は高いという。

 そして、数が減れば減った分だけ、外部の冒険者による2次被害も押さえられる。


 まあ、『赤い羅針盤』からアルバイト代も出るらしいし、いっちょ働いてやることにしますか!(主に働くのはマテラとライアになりそうだけど!)

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