山龍討伐一日目(18)
会議が終わると、早速行動!
と、行きたいところだったのだが、『探索ギルド』の方で機材の準備に時間がかかるので明日からしか行動ができないらしい。
また、白黒姉妹の方も派手な戦闘をこなした後らしく、「武器の整備に少し時間をかけたいという」ことだったので、自分達も明日の朝からまでは特に活動をせず、それまではマテラ、ライアと自分の3人で過ごすことにした。
かといって、森の中には強力な魔獣が放たれているという話もあり、「単独で屋外に出ることは控えるように」とも言われているし、拠点内もぴりぴりした雰囲気なので、探検気分で歩き回るというわけにも行かず、ありていに言ってしまえば「やることがない」。
ちなみに、『探索ギルド』のリーダーと白黒姉妹には、結界内でも拠点のある方向と距離がわかるアイテムが渡されたらしいが、数が用意できるものでもないらしく、アルバイト扱いの自分たちに配られることはなかった。
実際、ライアがいれば不要なものだしね。
「さて、やることがないのだけど、どうしようか。
また何かに想力を込める実験でもしようかな・・・」
「マテラよ、せっかくなので、チシロを例の場所に案内してはどうだ」
「そうですね。 ちょうど時間が空いたことですし、チシロさまを案内しましょう。
チシロさま、チシロさまを案内したい場所があるのですが、よろしければどうでしょう」
ん? 案内?
ライアの言う『例の場所』がどこかは知らないけど、「拠点から出てはいけない」と言われている点は大丈夫なのだろうか。
などと思っていると、マテラに「ローブを壁のハンガーにでもかけておいてください」と言われたのでその通りにする。
これから向かうのは「フードが邪魔になるような場所」ということなのだろうか。
ローブをハンガーにかけて壁にかけると「では、私の手をつないで、少しの間目をつぶって力を抜いていてください」と言われるので、これも言われた通りにして目をつぶって待っていると、ぐらりと体が揺れるような感覚があった。
「チシロさま、目を開けても大丈夫ですよ」
目を開けると、人間の子供ぐらいまで大きくなったマテラとライアがいて、明らかにさっきまでいたのとは違う空間が広がっている。
「マテラ、それと、ライア・・・なのか? ここは一体・・・?」
「チシロよ、ここはチシロのフードの中ぞ」
「はい。 これからチシロさまをご案内しますね」




