山龍討伐一日目(14)
「前方に20人程の、人間の魔力を感じます。 何やら作業をしているようですが・・・」
歩いていると、不意にマテラが何かに気づいたようだった。
「マテラよ、誠か?
われが案内しておる村はまだ、だいぶ先なのだがな。 チシロは何か感じるのか?」
「確かに、人の気配のようなものは感じるんだけど・・・人数まではわかんないや。
でも、なんとなくだけど、『嫌な感じはしない』というか、悪いことは考えていなさそうな感じがするかな」
「ふむ。 チシロがそう言うのであれば、危険はないだろう。
我が先に行って確認してくるゆえ、お主らはしばらくここで待つが良い」
「あ、それなら、私もついていきます。
チシロさま、少しの間お待ちください」
そう言って、ライアとマテラはすっと飛び立っていった。
「チシロ、チシロ☆
何かあったのか? 何かあったなら、教えて欲しいんだぞ☆」
マテラとライアが飛び立っていく様子に気づいたのか、クロヒメさんが話しかけてくる。
「ええ。
マテラによると、この先の少し開けた場所に、人が20人ぐらい集まっているみたいです。
村まではまだ距離があるそうなのですが」
「それって~、もしかしたら、私たちと同じで『依頼』を受けて森に来た人たちかも〜」
「まあ、マテラとライアが確認してくるようなので、少しの間、ここで待っていて・・・
あ、戻ってきたみたいですね」
思ったよりもだいぶ早く二人が戻ってきたので、姉妹との会話を切り上げて直接何があったのかを聞くと、二人は見てきた様子を伝えてくれた。
「うむ。
どうやら、結界のパターンを解析しておるようであった。
クロシロと同様、道に迷っておるのやもしれぬ」
「クロシロって〜、もしかして、私たちのこと〜? ま〜、い〜けど。
それで〜、その人たちはどんな格好だった〜?」
「そうですね。 みたところ、戦闘力はあまり高そうではありませんでした。
隊員全員が大きな荷物を背負っていて・・・あとは、そうですね。
コンパスみたいな模様が描かれた旗を色々な場所に飾ってました」
「やっぱり☆ それって多分、『探索ギルド』だぞ☆」
「目的地も多分、私たちと同じ場所ですね〜。
私たちと同じで〜、結界が急に強くなったので~、道がわからなくなったのではないかと〜」
「チシロさま、どうしますか?
目的地が同じなら、一緒に道案内しても良いと思いますが」
そうだなぁ。 どうしよう。
いや、一緒に案内をしても特に不都合があるわけじゃないけど、よく考えたらこちらに利益もないんだよなぁ・・・。
「まあ、そうだね。
ひとまず話だけでもしてみて、困っているようなら道案内することにしようか。
クロヒメさんと、シロヒメさんも、それでいいですか?」
「私たちも〜、それでいいと思います〜」
「チシロさんは、親切なのだな☆ もちろん、アタシも賛成するのだぞ☆」
それにしても、マテラの確認した集団にせよこの姉妹にせよ、何をしにこの森に来たんだろう。
『黄金』と同じように、『山龍討伐』の依頼でも受けたのだろうか。
それとも、この森には何か財宝でも眠っているのだろうか。
姉妹によると、『探索系』のギルドらしいし、その線は大いにあると思うのだが・・・。
後で聞いてみよう。 そして、面白そうだったら自分達も参加してみてもいいかもしれない。




