山龍討伐一日目(13)
「そういえば、30分ぐらい前に、森の奥からすごい大きな音が聞こえたんですけど、シロヒメさんとクロヒメさんは何かご存知ですか?」
「音? ああ、たぶん、あれのことだぞ☆」
「ええ、たぶんあれのことですね〜」
ライアの先導で歩きながら、白黒姉妹に話を聞いてみる。
「すごい音」というのは、二人に会う少し前に聞こえた音のことだ。
まるで、山全体が震えているような衝撃と共に、山崩れでも起きたような音が聞こえてきたのだ。
ライアとマテラが木の上に上がって様子を見ると、遠くの方で煙が上がっているのが確認できたが、何が起きているのかまではわからなかった。
迷子になっている姉妹が詳しく知っている可能性は低いと思ったけど、せめて「情報だけでも手に入らないか」と思っダメ元で質問したら、意外にも二人は、そのときその場にいたらしい。
「いやぁ、びっくりしたよ〜。
霧が晴れて城が現れたと思ったら、空から降ってきた別の城に潰されるんだもん!」
「そうそう。 そうだぞ☆
あんな光景、『前の世界』でもそうそう見られなかったんだぞ☆」
城が落ちる? 「親方! 空から◯ピュタが!」
いや、このネタは異世界では通じないか。
というか、それよりも聞き捨てならない言葉があった気が・・・。
「『前の世界』ですか。
ということは、お二人も転生者なんですか?」
「そーだぞ☆ 私たちは双子の転生者なんだぞ☆」
「『お二人も』という言葉を使うと言うことは、チシロさんも転生者なんですね~
ま~、私はどちらかというと『転生特典』なんですけどね〜」
妹の黒姫が転生するとき、転生特典に『姉』と設定した結果、姉も転生者になったらしい。
なんでも、シロヒメさんは前世で普通に過ごしていたら目の前に突然「転生しますか?」というメッセージが現れたらしい。
同時に、「妹が転生特典に『姉』を選択したこと」「転生したら、この世界から消滅すること」などの基本的な情報が謎の力によって瞬時に理解でき、「はい」のボタンを選択すると、そのまま転生システムの手続きに移ったらしい。
「チシロさま、それなら私にもありました!
チシロさまのためなら迷うことなんてありませんでしたけどね!」
「そうなんです〜。
私も、クロのためなら迷うことはありませんでした〜」
「そ、そーだぞ☆ 当たり前なんだぞ☆
べつに、嬉しくなんかないんだぞ☆ 当たり前のことなんだぞ☆」
うわぁ、めっちゃ照れてる。
そういう自分も、マテラが自分の意思でついてきてくれたということが嬉しくて、なんかこそばゆい感じはする。
クロヒメさんほどには表には出さないけどね。
「そういえば、二人は双子なんですよね。 どうりで、顔立ちなんかが似てると思いました」
「そうそう〜。 前世では、髪の色や口調なんかも同じでして〜」
「こっちの世界ではせっかくだからいろいろ変えようってことにしたんだぞ☆」




