山龍討伐一日目(12)
ライアの案内に従って人の集まっている集落に向かっていると、途中で変な二人に出会った。
全体的に白一色の女性と、逆に黒一色の女性の二人組で、顔つきがそっくりなのでおそらく姉妹なのだろう。
道に迷っているのだろうか、地図を見ながら困った顔をしているので話しかけることにした。
「こんにちは、大丈夫ですか?
よければ、近くの村までなら案内しましょうか?」
「え? 村? 拠点のことかな? あ、ありがとう〜。 助かるよ〜」
「べ、べつに、迷子になっていたわけではないんだぞ☆」
「チシロさま、べつに迷子じゃないみたいです。 置いてきましょう!」
「左様。 森の散策の邪魔をしてはならぬしな」
マテラ、ライアも、困っている人に平気で追い打ちをかけるのはやめたげてください・・・。
まあ、本気で言っているわけではないようだし、白い方の人は、冗談だということがわかっているのか落ち着いた様子だ。
黒い方は、マジで泣きそうな顔してる・・・。
「べ、べつに、案内してくれてもいいんだぞ☆
お、お礼はちゃんとするんだぞ☆」
「そうです~、ぜひ案内して下さい〜。 さっきから結界が強化されてて困ってるんですよ〜」
こうして、二人組も一緒に村(拠点?)に向かうことになった。
それにしても、結界が強化されてるのか。
ライアについていくだけだったので特に気づかなかったけど、もしかしたらこの森では何かが起きているのかもしれない。
とりあえず、村まで案内するだけの関係とはいえ、自己紹介はしておこうと思う。
「自分の名前は、チシロ。 こちらの妖精(?)は、ライアとマテラです。
よかったら、二人の名前も教えてもらえませんか?」
「私はシロヒメです~。 『白騎士』というギルドで隊長をやってるよ〜」
「アタシはクロヒメ。 こう見えて、『黒鉄』の幹部なんだぞ☆」
真っ白な方の女性がシロヒメ、黒い方の女性がクロヒメ。
やけに見た目通りの名前だと思ったら、後から自分達で付けた名前だそうだ。
何でも、この世界では生まれつきの名前の他に、通り名を自分達で決めることができる仕組みもあるらしい。




