山龍討伐一日目(幕間2)(4)
「親分、大変です! 何者かが、拠点に向かって一直線に向かってきとるようです!」
「ナニィ!? 結界はどうした! まさか、この大事な時に停止したのか!?」
「いえ、結界は・・・ちゃんと作動しています!
エラーはゼロ件で、センサーに異常もありません!」
ということは、結界の影響を受けていない・・・だとぉ?
この結界は、ギルドに代々伝わる秘宝級の結界で、そう簡単に破れるものではない。
森に魔獣を放し飼いにできるのも、この結界のおかげといえるのだが・・・。
「そういえば、魔獣は? 魔獣はどうした!?」
「いえ、それが、魔獣が何者かと戦闘をした痕跡は見られるのですが・・・、
!? また、魔獣の反応が一つ消えました。 今度は、古代のスライムです」
エンシェントスライム・・・。
確か、2代前のギルマスが買い取ったはいいが、手に負えないから仕方なく森に放し飼いにしたっていう話の。
他にも、ワイバーンや魔狼もたやすく撃破され、下級の魔物に至っては近づくことすらできないでいるという。
「わかった。 結界の出力を最大まで上げて、メンバー全員に、警戒態勢に入るように伝えろ!
あと、あの双子暗殺者に連絡を入れろ! 今すぐ戻って、拠点を守るように伝えるんだ!」
「りょ、リョーカイです!」
クソッ奴らめ、もう本拠地の位置を割り出したっていうのか・・・
こっちはまだ、人質の確保もできていねぇってのに。
ズズズゥゥゥゥンン・・・
「おい、今度は一体何が起きた!? あっちは、双子が向かった方角か!?」
「なんでも、『天空城が落ちた』らしいです」
「天空城!?が?なんだって!? そんな符丁を決めた記憶はねぇぞ!?」
「どうやら、言葉の通りのようです! 上空に城のようなものが現れた直後、地上に向かって墜落。
双子は無事に切り抜けたようですが、偵察していた部隊の一部が瓦礫に埋まってしまったようです!
親分! 今すぐ指示をください!」
城?
上空に城って時点で意味がわからない。
そして、その城が落ちたと。
どういうこっちゃねん・・・
「と、とりあえず、双子にはこっちに戻るように、伝えて・・・
あと、他は、その、瓦礫に埋もれた連中の救出に当たってくれ・・・」
こりゃ、ダメかもしれん。
想定外の事態が多すぎて、俺の手には負えない・・・・・。




