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転生システムに致命的エラーを発見してしまったのだが  作者: みももも
第零章

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山龍討伐一日目(幕間1)(5)

「くっ、片田舎の農村ギルドにこれほどの腕を持つ戦士がいるとは・・・、またも計算違いです・・・」

 どうやら私は、敵ギルドのことを甘く見ていたようです。



 敵ギルドの戦闘員を釣り出すために、あえて隙を見せながら周囲を探索してしばらく立つと、どうやら攻撃を仕掛けてくるつもりになったようです。

 息を潜めて近づいてきているようでしたが、完全には気配を殺し切れていないようで、私はすぐに相手の位置まで把握できたのですが、あえてここはまだ、気づいていないふりをして相手が更に接近するのを待ちます。


 そして、相手が私の背後からこちらに飛びかかってきた瞬間、振り返りざまにカードを破り、大剣を出現させます。

 驚いた相手はとっさに、私に向かって剣を突き出しますが、私はそれを軽く躱しました。


 相手の腕は、剣を持った状態で伸びきっており、わたしは「完全に捉えた」と思って大剣を振り下ろしたのですが、

 次の瞬間

 相手は人間離れした速度で細剣を引き戻し、そのまま私の大剣と相手の細剣がぶつかり合いました。


 その瞬間、私は、相手の実力について「勘違いであった」ことに気がつきます。

 つまり、気配を消す技術が無いのではなく、単に「気配を消す必要を感じていなかった」だけだったようです。



 1トンは軽く超える大剣の振り下ろしを平然と受け止める相手の筋力に驚くべきなのか、それだけの力を受けてもビクともしない相手の細剣に驚くべきなのでしょうか。

 ともかく、つばぜり合いに持ち込まれてしまい、しかもその結果、吹き飛ばされるのは明らかに質量で勝るはずの私の方でした。

 まあ、一度距離を取るためにあえて後方へと跳躍したのもあるのですが。


 しかし、飛ばされた先ではもう一人が武器を構えています。

 適当に手づかみしたカードを破って魔術を発動させて時間稼ぎをしつつ、私自身は勢いのままに武器を待ち構える相手に大剣をぶち当てます。


 こちらの相手もやはり相当な実力者のようで、二度の衝撃に耐えきれなかった大剣は使い物にならなくなりましたが、こちらの方はなんとなく予想はしていました。


 地面に着地すると、折れた大剣はそのまま相手に投げつけて、次のカードを破って出現させた刀を腰に差し、抜刀術を放とうとしたところで一人目を拘束していた魔法が薙ぎ払われました。

 竜を半年間封印できる『拘束魔法』を10近く直撃させたのに、それを数秒で破るとか。

 まさしく化け物ですね。


 とっさにカードを3枚破り、『濃霧』『魔獣の群れ』『巨城』を出現させて私は城の中に逃げ込みますが、相手の剣の一振りで霧は晴れ、100匹近く用意した魔獣の群れもすでに半数まで減っています。

 この分では城自体が消し飛ばされるのも時間の問題かもしれませんが、少し落ち着いたので二人組の様子を観察します。


 最初に攻撃を仕掛けてきた一人目は、装備から長い髪まで全身真っ白な騎士風の女。

 もう一人の方は対照的に、全身真っ黒な装備で、長い黒髪の、死神風な女。


 探索魔術を使っても、あの二人組以外の気配はないのが救いといえば救いなのでしょうが・・・。


「ああもう、本当に。 なんであんな厄介な・・・そもそもあれは一体何者なんですか!?」

「アウラ、そのことなんやが、奴らの片方には見覚えがある!」

 愚痴を言いながら様子をうかがっていると、通話をつなげたままだったガストフさんが話しかけてきました。


「ガストフさん、ちょうど良かった。 こちらからも連絡しようと思っていたところです。

 それより、あの白黒は一体なんなんですか?」

「黒い方は知らん。 やが、白い方は確か『白銀』系列の確か『白騎士』ちゅうギルドの幹部だったはずや。

 名前は忘れたが『この戦士がやばい』っちゅうランキングでトップ10に入っとったんで覚えとる。

 相当にやばいやつやで!」

「やっぱりそうですか。

 悔しいですが私一人ではどうしようもありません。

 それで、こちらからの用件なのですが、一旦撤退したいので、渡しておいたカードを破ってください」

「あいよ! 今すぐ破ればいいんかい?」

「いえ、できればまずは森を出て、それから破ってください。

 30分ぐらいなら時間稼ぎできますが、できるだけ急いで!

 あと、やばかったら緊急信号を送りますので、その時はササっと破いてください!」

「リョーカイ! じゃ、またあとで!」

「はい! できるだけ急いでくださいね!」


 さて、時間稼ぎとなれば、やることは簡単です。

 せっかくなので、使う機会のなかった手札でも試してみますか。

 ではまずは手始めに、『天空城』から試しますか。 ちゃんと飛ぶといいのですが・・・。

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