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転生システムに致命的エラーを発見してしまったのだが  作者: みももも
第肆章:転生世界(帰還)

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納品

 超久しぶりじゃん! 元気してた?

 ……前話から1年以上経過してるので、あれです。

 違和感があるレベルで文体が変化してると思います。

 あと、前までの内容をほとんど覚えてないので、ここで展開が少し飛ぶかもしれません。

 何かあったら指摘してください。直すかどうかは、状況に寄りますが。


 まあ御託はほどほどにして……それでは続きをお楽しみください。

 細い洞窟を滑空して、自分は再び都市部へと戻ってきた。

 洞窟を出たら地上に降りて硬い岩盤の道を歩き『ギルド』の建物を訪れる。

 ここを出てからさほど時間がたっていないこともあり、転生時に案内してくれたカーマさんはそのままいて、暇そうに欠伸をしていた。


 ゆっくり近づくとカーマさんも自分に気づいたようで、背筋を伸ばして手を上げる彼と目が合った。

「よーう! ミトじゃねえか! どうした、困りごとでもあったか?」

 ざわざわと騒がしい建物の中でも大きな声はよく響く。

 最初のデモンストレーションで注目を集めすぎたせいなのか、チラチラと視線を感じる中、自分は話し声が届く距離まで近づいた。


「カーマさん、クエストを納品したいんですけど……」

「納品……といっても、ミトはさっき転生してきたばかりだろ。なんだ、手持ちで売れそうなものでもあったのか?」

「いや、えっと、見せたほうが早いな。これをお願いします」


 テーブルの上に、拾ってきたばかりの金属塊をゴロゴロと転がした。

 のんびりしていたカーマさんの表情が、冷水を浴びたように引き締まるのが、想力を見るまでもなく判別できる。

「おまっ……これ、どうしたんだ」

「洞窟の中で拾いました。納品……できそうですか?」

 白い手袋をはめて石を確認する彼の首筋にすっと細い汗が流れる。

 目的なく『ギルド』内をうろうろしていた冒険者も、少しずつ興味を持ったのか集まってきて、いつの間にか自分たちの周りには小さな人垣ができていた。


 特殊なルーペを使って細部まで確認を終えたカーマさんは、ゆっくり顔を上げながらため息を吐き出した。

「こいつぁ……間違いねえ、かなり高純度な魔鉱石だ!」

「あの、それで納品は……?」

「もちろん、問題ねえ! 全納品で良いんだな? ミト、ステータスカードを出してくれ!」

「あ、はい。全部納品でお願いします……」

 ステータスカードをカーマさんに手渡すと、彼はぶつくさと呟きながら機械を操作し始めた。

「魔力波長は……確かにこの辺りで採掘されたものだ。だがどういうことだ、この大きさと魔力濃度は」

「なにか変なところでもあったんですか?」

「変……なんてもんじゃねえ。普通はこんぐらいの魔鉱石が一つ二つ取れれば優秀なんだぜ?」

 カーマさんは親指と人差し指で輪っかを作った。

 確かにそれと比べたら、自分が持ち込んだこれは『小石』と『岩』ぐらいの違いがある。

 やがて機械での鑑定が終わったようだ。カーマさんは一番小さい岩塊を指さしながら、声を潜めて自分に顔を近づけた。

「なあ、ミト……どうする? これ一つで、この先数年分のクエスト(ノルマ)が達成されちまうんだが……?」

「そうですか。全部買い取ってもらうと、逆に迷惑とかですか?」

「そういうわけじゃ……いや、そうじゃねえとも言いきれないか。『ギルド』としてはありがたいんだが、他の冒険者どもにとっては……」


 一つ二つならともかく、すべてを『ギルド』で買い取ってしまうと、今後数ヶ月から数年は魔石関連の価格崩壊が起きてしまうらしい。

 それに加えて魔鉱石の買取額も割安になってしまうので、自分にとってもあまり旨味がないのだとか。


 話を聞いて、自分は少しだけ考えて、結論を出した。

「それなら……とりあえず一つだけ納品して、残りはこっちで引き取ります」

「そうしてくれると助かるぜ……それじゃこっちは返すぜ」

 カーマさんは一番小さい一つだけを箱に入れ、のこりはテーブルの上で押し戻された。

 魔鉱石を袋に詰め直し、預けていたステータスカードを返してもらう。

 カードをスワイプして確認すると、いちじゅうひゃくせん……途中で数えるのを諦めるほどの桁が記載されていた。

 二度見して、三度見してから、改めてカーマさんの顔を見ると、ニコッと笑顔を返された。

 どうやら間違いとかではなく、本当にこの金額で売れたらしい。これだけあれば数年は遊んで暮らすことも出来るだろう。


 自分はもう一度、カーマさんに頭を下げる。

「カーマさん、どうもありがとうございました」

「いやいや、こっちこそ期待に答えられなくて申し訳ない。また何かあったら寄ってくれ!」

 がっちりと握手を交わし、自分はギルドを後にした。


 宿の自室に戻ってベッドに腰掛けながら改めてステータスカードを見る。

 透明だったカードは、魔鉱石を納品した影響で、やや緑っぽく変化していた。

 名前欄は相変わらず『X使用できませんX=ミト』という状態になっている。

 『X使用できませんX』の部分を非表示に設定して『ミト』だけを残すことにした。


<<ミト>>

 職業:冒険者

 冒険者ランク:F

 カードランク:薄緑

 所属:なし


 そこにはマテラもライアも、リオもない。

 かつては『Sランク』まで到達したランクも今は『Fランク』で、所属ギルドも『なし』になっている。

 だけどこれが今の自分なのだから、贅沢を言うつもりはない。


 とりあえず明日は『黄牛』というギルドの入隊試験を受けて……

 そんなことを考えながらベッドに倒れると眠気が強まり、気がついたら自分は意識を失っていた。

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