山龍討伐一日目(幕間2)(1)
「ヒャッハー! うまくいったぜ!」
「ああ全くだ。 未だ『人質を捉えた』ッテェ連絡がこねぇのは気になるが、まぁ時間の問題だろう」
「これで、山龍15体分の素材が手に入るってことですね。 親分!」
「何言ってやがる! そうじゃねぇだろ? 確かに、山龍15体ってのはデケェ!
もし手に入れば10年は遊んで暮らせるだろうさ。
だが、そこじゃねぇ。 おいそこの、お前、少しこいつに説明してやれ」
「へい親分!お任せを!
いいか、新入り! テメェは勘違いしているようだが・・・
そうだな。 『今の俺らに一番必要なもの』は何だと思う?」
「何って・・・そりゃ『お金』でしょう?
こんな『悪どい』ことをするのも結局、『お金』のためですよね?」
「ああ。 まあ、間違っちゃあいねぇ。 間違っちゃいねぇんだが、足りねぇ。
そうだな・・・質問を変えようか。
今、『大量のお金を手に入れる』ためには、どうすればいいと思う?」
「そうですね・・・。
やっぱり基本は物を売るってこと・・・え、それって結局、『山龍』の素材を売るってことじゃないんですか?」
「そこ、そこだよ。 お前が勘違いしているのは。
他にも、大量の金が手に入る方法はあるだろ?」
「えぇっと、他に、ですか。 それなら・・・
ああっ!そうか。 確か、うちのギルドのグループには、『ギルド内報償制度』ってのがありました。
確か、龍族の討伐をこなすことで、1匹につき、500Gぐらいもらえるんでしたっけ?」
「お、よく気づいたな。 だが、詰めが甘い。 『龍族討伐』以上に大量の金が手に入る制度があるんだが、それはなんだ?
そうだなぁ。
ヒントを挙げるとしたら『山に入って山龍を討伐することは、国際法上禁止されている』ってところかな? あとはそう、『魔術契約を破棄することにも相当なペナルティがある』とか?」
「まさか・・・『ギルド潰し』ですか?」
「そーいうこった! うちのグループの制度じゃあ、『ゴールドランクのギルドを降格させる』ってだけで、数千万Gの報償が出るし、壊滅まで追い込むことができりゃ、下手したら数億だ」
「す、数億・・・それだけありゃあ、俺たち下っ端の取り分も・・・・・」
「おっとすまねぇ。 山で見回りしている連中から連絡が入った。 おそらく『人質を捉えた』ってとこだろう。
少し席をはずすが、奴らが不審な動きをしねぇか、目を離すんじゃねぇぞ!」
「「へい! 親分!!」」




