山龍討伐一日目(5)
全長は約2メートルほど。
でかいといえばでかいのだがだが、「巨大」というには少し物足りない気がする。
実際、地球上にすらもっとでかい動物はいるし、この世界の魔獣の中には全長が数百メートルを超える物も珍しくないと聞く。
それと比べたら大したことはないのだろう。
だけど、単純な大きさの問題ではない。
強烈なプレッシャー。 存在感。
敵対心は感じられないが、圧倒的上位から見下ろされている感覚。
そして、それだけ異質な存在でありながら、目を離せば見失ってしまいそうなほどに自然と調和していた。
<<迷いしものよ、汝、この声が聞こえるか。>>
「!?」
頭に、というか、全身に言葉が響く。
何というか、爆発音と聞き間違えるほど巨大な「声」だった。
マテラは平気なのかと思ったが、フードから出てきもしないで何やら作業をしている。
フードの外を気にするそぶりも見せないということは、聞こえていないのだろうか・・・。
<<そうか。 聞こえぬか。 まあ、そう上手くいかないのも仕方あるまい。>>
<<あれだけの包囲をたやすく破る者ならば「あるいは」とも思ったのだがな。>>
<<しかし、姿を見ることはできている模様である。>>
<<ならば、物珍しさで釣り出すことも可能か?>>
<<なに、叶わぬならば力づくでも連行するまでのこと。>>
呆然としていると、今度はあちこちから声が聞こえてくる。
どうやら、どこか別の場所にいる個体と会話しているようだが、なんだか物騒なことになってきた・・・。
「あの、私に何かご用でしょうか。 というか、よければ道案内をしていただきたいのですが」
<<語りかけてくるということは、やはり姿は認識できているようだ。>>
<<人族の亜種に我々の結界を破る力はないようだな。>>
<<我らの言葉は聞こえずとも、我らと会話を試みようとするとは。 面白い。>>
<<うむ。 なかなかに肝の座った男であるようだ。>>
<<ならば、案内するそぶりを見せて彼の地に誘導することも可能か?>>
<<なに、用が済んだ後で望み通りに道案内をしてやれば良い。>>
「いえいえ、そんなことしなくても、自分にできることがあるならお手伝いしますよ。
その代わりに、最終的には道案内をお願いしますね?」
<<・・・・・>>
<<もしかして其の方、我らの声が聞こえとります?>>
「ええまあ、一応」




