転生生活1日目(5)
ラビさんに案内された応接室は、異世界らしくないというか、至って普通の応接室だった。
そんな普通の応接室にいる、うさ耳増し増しの美少女・・・、あ、さっきの「異世界らしくない」ってのはやっぱりなしで。
やっぱここ、異世界だわ。
「それでは、チシロさん。
転生の手続きを行います・・・。 が、その前にこちらを、・・・・・どうぞ」
そう言って、小さな箱を渡された。 箱を開けてみると自分が前世で大事にしていたお守りが入っていた。
「ああ、転生したときに見当たらないと思ったら、ここに届いていたんですか。 どうもありがとうございます」
「いえいえ・・・。 本来でしたらチシロさんもこちらに届くはずだったのですが・・・・・。
(コホン・・・)
さて、それではチシロさん、早速ですが転生の手続きを始めます・・・」
そういって、ラビさんは何もなかったかのように一枚の書類を机の引き出しから取り出した。
「まず、ステータスカードの発行を行います・・・。
こちらの書類を読んで、同意いただける場合はサインを書いてください」
ラビさんは机の引き出しから一枚の紙を取り出し、自分の元にペンと共に渡してくれた。
<<ステータスカード発行同意書>>というタイトルから始まる書類は、言ってしまえば簡単な同意書だった。
要約すると、
・ステータスカードを使用すると、ステータスが記録される。
・ステータスカードは、身分証明にも使うことが可能。
・ステータスカードを用いて、アイテムなどの鑑定を行うことも可能。
・ステータスカードの再発行には手数料がかかる。
のようなことが書かれている。
ステータスカードを受け取るためにはサインを書く必要があるらしい。
一通り目を通し、内容も確認したので、サイン欄の場所に『水音 千代』と書くと、紙が光の粒になって消え、代わりに一枚の透明なカードが現れた。
どうやら、このカードが『ステータスカード』らしい。
カードには<<使用者登録が完了しました>>というメッセージが現れた後、基本的なステータスが表示された。
チシロ=ミト
職業:冒険者
種族:ツノナシ エルフミミ シロエルフ
カードランク:無色
サインは漢字で書いたのに、ステータスカードの表記はカタカナらしい。
そして、種族選択で「おまかせ」を選んだせいか、種族がカオスな状態に・・・。