山龍討伐一日目(幕間1)(1)
「なるほどなぁ。 つまり、山龍が山から下りてくる原因は、わからないっちゅうことか」
「ええ。 はい。 そうなのです。 ですので皆様には、早速山に入って調査をしていただきたいのです・・・」
「ディーノさん、それよりもまず、山龍による被害の跡を見たいのですが」
「はあ、それは・・・。 どうしてもですか?」
「いえ、龍を直接見るのでもいいのですが、被害の跡からも『どの程度の大きさの龍なのか』など、わかることはありますので」
「はぁ、そんなもんですか。 ああいえ、でも・・・」
「? どうしたのですか? クエストの概要には確かに『山龍による被害が出て』とありますが。 ああ、もしかして、山龍の姿を見ただけで、実際の被害はまだてていないとか?
たしかに、これだけ農地が広いと、そういうこともあるのかもしれませんが」
「あ、ああ。 そ、そんなところでして・・・。 そんなわけで、皆様には是非、山に入って調査を・・・」
コンコンコンコン・・・
「ええと、すいません、所用があるので少し席を外します。 すいません」
ノックと同時にディーノさんは慌てて部屋を飛び出しました。
「ガストフさん、どう思います?」
「ああ、どうにも胡散クセェ感じがしやがる。 ここは少し、様子を見た方がええかと・・・」
「そうですね。 少なくとも本契約は後回しにして、しばらくは仮契約という方針で進めましょうか」
「せやな。 契約を急がせるようやったら、ペナルティ払ってでも・・・」
バーン(扉を勢いよく開く音)
「みなさん、お待たせいたしました! いえ実は、ただいま我々にとってはいい話が入ってきまして・・・」
「いい話? 山龍でも現れたんですか?」
「いえいえいえいえいえ。 それのどこがいい話なんですか。
まあ、『我々にとって』いい話ではあっても、皆様にはちょっと『悪い話』なのかもしれませんが?」
「ええからとっとと話を進めろや。 一体何があったって?」
「実はですね。 我々はですね。 皆様のお仲間を人質にすることに成功したのです!」




