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転生システムに致命的エラーを発見してしまったのだが  作者: みももも
第零章

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赤銅革命計画(80)姫選抜戦(24)5位:彼岸花もみじVS.2位アキネ・アカガネ・アルデバラン(5)

(ベルンよ、違和感を感じぬか?)

(ライア、わかってるでち・・・)

『みんな、ちょっと一旦止まるでち』

『どうしましたか、ベルンさん?』

『・・・なんか、さっきから空気が変じゃないでち? それに急に警戒が緩くなったのも気になるでち』

『確かに警備兵の数もさっきより減っている気が・・・まさか、誘い込まれているのでは?』

『でも、私たちに気づかれたような感じでもなさそうでち・・・それにしてもあいつら、一体どこに向かっているんでち?』


 ベルン達はそれぞれ物陰に潜んで周囲に警戒しながら『魔力糸電話』という糸状に伸ばした魔力に声を伝達させる魔術で会話をしていた。

 この魔術は有効範囲が10メートル程度と短いのが欠点だが、魔力が外に漏れることがないため今回のような隠密行動時には重宝していた。

 ちなみにこれも『彼岸花』が新発明した魔術の一つである。


『ベルンさん、通信の傍受に成功しました! どうやらこことは別のフロアに侵入者が現れたようです。 これはおそらく、もみじさん達かと・・・』

『もみじさん? ・・・侵入がバレたんでち!? で、もみじさん達が無事かどうかはわかるでち?』

『そこまでは状況が確認できません。 ですが、もみじさんに投票した私が今もまだ消えずに残っているということは、もみじさんも退場はしていないはずです・・・』

『そうでちか・・・。 わかったでち、私たちはもみじさんの作ってくれたチャンスを生かすためにもこのまま潜入を続けるでち!』

『了解です!』


 ベルンは「いずれにせよもみじさんを助けるような余裕はないでち」と判断し、もみじ達を陽動に使って先を目指すことにした。

 有力な戦士達はもみじが攻め込む戦線の防衛に駆り出されていたためか、ベルン達の前に立ちふさがるのはやや劣る冒険者だけで、ベルン達はそれらを一人ずつ丁寧に無力化してどんどん先へと進んでいく。

 そしてベルン達は通路を駆け抜けて最下層へとたどり着いた。


「みんな、ちょっと待つでち」

「ベルンさん? どうしました、この先に何かあるんですか?」

「この扉の向こうから、強い魔力のプレッシャーを感じるでち。 私一人で行くから、みんなはここで待機するでち」

「わかりました。 お気をつけて・・・」


 ベルンがそっと扉を開けると、そこには高級そうなソファーに腰をかけて一人の少女がくつろいでいた。

 少女の髪は赤というよりは朱に近い明るい色のショートヘアで、顔の輪郭などからもまだあどけなさを感じられる。

 身長はベルンと同じか少し低いぐらい。魔力的な視点を持たない人間が見れば、子供だと思って完全に油断していただろう。


「待ってたよ・・・あれ、もみじさんじゃないんだ」

「うちは、ベルンシュタインでち。 もみじさんの協力者でち!」

「こんな時まで自己紹介とは、営業熱心だね。 いいよ、ボクはアキネ。 アキネ・アカガネ・アルデバラン。 君を倒してもみじさんも倒して、そして『赤銅』の『姫』となる人間の、名前だ!」


 アキネが名乗りながら魔力を解放すると、部屋の調度品がまとめて壁に吹き飛んだ。

 ベルンは己の防御結界をさらに自前の結界で覆っていたためダメージはなかったが、それがなければこのプレッシャーだけで退場になっていた可能性もある。

 すでに部屋の外に待機させていたベルンチームの冒険者たちは、『Aランク』級の実力を持っているにも関わらず、二人に近づくことすらできない状態となっていた。


(ベルンよ、気をつけよ! 奴は・・・強いぞ)

(わかってるでち! ライア、合体でち!)

(うむ。 我はすでに王冠としてお主の懐にある。 あとはお主が装備するだけである!)


 ベルンはポケットから一つの王冠を取り出して頭に装着する。

 その瞬間、今度はベルンからアキネ以上の魔力のプレッシャーがほとばしる。


「へぇ、やるじゃん! 楽しませてくれよ!」

「お前が楽しんでる間に、決着をつけさせてもらうでち!!」


 アキネが濃密な魔力で作り出した魔剣でベルンに切り掛かり、ベルンが同じく魔剣でそれを防御する。

 剣と剣がぶつかり合って火花を散らし、魔力の波動を受けて基地自体がミシミシと悲鳴を上げ始めていた・・・。

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