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赤銅革命計画(72)姫選抜戦(16)1位:クリン・アカガネVS.3位:タウリ・アルデバラン(3)

<<こちらロフィ! 上空のあれは7人中3人が『Sランク』だ。 すまねぇが、俺じゃどうにもできねぇ!>>

『こちら本部、了解した。 ちなみにその中にタウリはいるか?』

<<いや、見た所タウリ(ちびっこ)はあの中には混じってねぇ!!>>

『了解。 ロフィたちは上空の防衛を時間稼ぎにとどめて、損害を出さないことに集中してくれ。 最悪そのまま突破されてもいい。

 ・・・ということでSランク(親衛隊)の皆さん、聞こえていますか? 出番ですよ!』

<<待ちわびたぜ!!>>


 ロフィとアディ、ネヴィの三人はそれぞれ守備部隊の隊長を任せていたが、俺たちにとって城塞防衛の本命はあいつらじゃなくて、クリン師匠を支持している『Sランク』や『SSランク』冒険者たちだ。

 基本的に『Sランク』の冒険者には部隊の指揮能力を持っていることも多いが、それ以上に彼らは個人としての戦闘能力がずば抜けて高いからな。

 敵の『Sランク』が突撃してきたときに受けるにはやはりこちらも『Sランク』をぶつけるしかない。

 だからこそ俺たちの軍では『Sランク』の冒険者たちを防衛軍には加えずに温存していたし、タウリの方も同じような考えで奇襲として『Sランク』冒険者を運用しているんだろう。


「テンキちゃん、でも、上空が囮ってことは・・・」

「ええそうですね、師匠。 本命は地下である可能性が高い。 『こちら本部、タウリは地下から侵入してくる可能性が高い! 念の為親衛隊の一部は地下の防衛に回って・・・』」

「ククク! やっぱりそう思うよね! まんまと引っかかってくれて、ありがとうテンキくん!」

「お前は、タウリ!? 一体どこから・・・」

「まさか気づいていないのかい? 南門はとっくに陥落しているよ?」

「だがその周りには包囲が築かれているはずだ。 それに、南門だけ襲撃が激しいとかいう情報は受けていない・・・」

「当然だよ! 僕はただ外から眺めて、穴が空いた場所から入り込んだだけだからね! どんなに強固な守りでも、揺さぶりをかければどこかに歪みや弛み(たゆみ)が生まれるものだからね!」

「テンキちゃん、タウリちゃんにしてやられたね・・・。 ここからは私がやるよ」

「すいません、師匠。 俺の指揮が甘かったばかりに・・・」

「テンキちゃんはよくやってたよ。 それにタウリちゃんを完封しようとしたら、それこそ『伝説のSランク軍師』級の指揮力じゃないとどうしようもないだろうしね!」


 自分で言うのもなんだが、俺の指揮に欠点はなかったはず。

 戦力はこちらが圧倒的優位でしかも俺らは防衛側。 そもそも城門を破られることが想定外だったが、破られた後の対応も最適解を選んでいたはず。

 それでも俺はタウリを止めることすらできなかった。やはりこれが『Aランク』と『Sランク』の差・・・なのか?


「タウリちゃん、ここまでたどり着くとはさすがだよ。 でもねタウリちゃん、ここまでこれても私を倒せなきゃ意味がないんだよ?」

「うっさいクリン! 僕のことをちゃん付けで呼ぶな! それに、いつまでも僕を子供扱いしていると後悔することになるぞ!」

「うんうん、それでタウリちゃんは、今日は何を見せてくれるのかなぁ? (テンキちゃんは安全な場所に退避して防衛の指揮をとることに集中して!) 今までタウリちゃんが私に勝ったこと、あったっけ?」

「(了解です。 ご武運をお祈りします!)」

「なめ・・・るな! 今日はお前を倒すための秘策を用意してきたからな! 覚悟しておけ!」

「それは怖いね〜! それじゃあ今日は、私も本気を出そっかな!」


 クリン師匠はタウリと会話をしながら俺が逃げる隙を作ってくれた。

 師匠にとって俺はいざとなったら盾にでもできる障害物の一つに過ぎないんだろうけど、それでも戦力を温存できるならそれに越したことはないって考えたんだろう。

 それに現時点で指揮をしていた俺が抜けると、俺たちの軍は一気に瓦解する可能性もあるからな。

 俺がこの場に残っても師匠の邪魔にしかならないから、とっとと別の場所に移動して指揮をとることに集中することにしよう。

 まあ、クリン師匠ならタウリごときに負けたりはしないだろうしな!

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