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精霊車・運転席にて(4)
「そっか、アウラさんにも、いろいろあったんやなぁ。 いやすまない。 辛いことを思い出させちまって」
「いえいえ、とっくに終わったことですから。 それに、最終的におじいちゃんの残した遺産は私が受け取ることになったのですから。」
「遺産? 何か隠し財産でも残してたってことやろか」
「いえ、こんなこと恥ずかしいのであまり言いませんが。
おじいちゃんが私のために作ってくれたこの『黄金』のことです。
ギルドの財産はほとんどないどころか、借金もいくらかあるのですが、それでもおじいちゃんが私のために作ってくれたんです。
どんな金銀財宝よりも、このギルドそのものこそが一番の宝物です!」
「そっか。
そっかそっか。 よし、決めた! 決めたで!
わいも、黄金に入る! そして再び世の中に返り咲かせたる!
アウラさん、いえ、ギルマス!
ぜひわいを、このギルドで雇ってくれ!」
「・・・はい! 喜んで!」




