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赤銅革命計画(7)

 ライアのナビに従って雲の上を優雅に飛んでしばらくすると、昨日の料亭のヘリポートが再び見えてきた。

 ちなみに、あらかじめシェフと連絡を取り合うことができなかったので、仕方なく今回もこの店の予約をしてある。

 前回は夕食だったから自分の財産の半分以上を消費するような金額だったらしいんだけど、今回は朝食だから、さすがにそこまで高いわけではない。

 とはいえ朝から一人当たり30G(約3万円)以上もするというのは、前世の生活ではちょっと考えられないんだけど・・・。


 ま、まあ、今日の目的はシェフと連絡を取り合うことだから。

 朝食はついでだから、ビジネスだから。

 ・・・経費で落ちてくれたりしないかな。 いや無理か。 てかそもそもこの世界に経費とかあるのか?


「お待ちしておりました、オンクガネ様。 ご案内いたします、こちらにどうぞ」

「あ、はい。 わざわざご丁寧にどうも・・・」


 昨夜と同じように、自分たちがヘリポートに到着すると早速給仕さんが出迎えてくれた。

 部屋へと案内する道すがら、「シェフが朝食後に挨拶に向かいます」と言っていたので、こちらの意図もある程度理解してくれているのだろう。

 それでもちゃっかり朝食は用意してくれるあたりはプロ意識なのだろうか。

 それとももしかして「まだ迷っている(かもしれない)自分たちを、朝食の味で振り向かせてやろう」みたいな意気込みもあるのかも、しれない。


「オンちゃん、昨日とは違う部屋でち! こっちは地上の様子がよく見えるでち!」

「そうですね、チシロ先生。 今日は雲も出てませんので、地上で働いている人の様子まで見えますね!」

「いやそれが見えるのはマシロだけでち。 あとマシロ、そろそろ『先生』はやめるでち! マシロはもううちの弟子ではないでちよ」

「そういえばそうでしたね、チシロさん・・・。 やっぱり、チシロさんって呼ぶとチシロ兄さんと混ざって違和感があります。 やっぱりチシロ先生のことはチシロ先生と呼びたいのですが」

「だったらうちのことはベルンとかそんな感じで呼べばいいと思うんでちが・・・」

「ほんとそれ。 そもそも別にキューちゃんの名前の中に『チシロ』要素はないからね?」

「ですが兄さん。 なんというか慣れてしまったというか、今更ベルンさんとかキューさんとかの呼び方に変えると違和感があるというか・・・」

「オン先生、私もです! 私もオン先生のことはオン先生と呼び続けたいのですが」

「二人がそこまでいうなら・・・」「別にそれでもいいでちが・・・」


 まあ確かに、例えば学校の先生とかは卒業後も「〜〜先生」って呼び続けるし、そう考えると別に『元弟子』に『先生』と呼ばれること自体は不思議ではないのか?

 前世も含めて弟子を持った経験は今回が初めてだからその辺りの感覚は掴めないんだけど。

 というかマシロは今「ここから地上の人が見える」って言った?

 自分には人の姿なんて全くない綺麗な風景しか見えないというか、かろうじて想力の色合いから『人がいる』ってことしかわからないんだけど・・・。

 まあたぶん、自分がこの世界に来て『想力』なんていうよくわからない力を手に入れたように、マシロも何かしらの能力みたいなものを手に入れているのだろう。

 今度時間のある時とかに聞いてみようかな。


「みんな、外の景色もいいけど席について。 あまりはしゃいでいるとその、子供っぽく思われちゃうし」

「そうでちよ! うちらは今回は仕事の一環としてきているんでち! いつまでもお遊び気分じゃダメでちよ!!」


 ついさっき窓の外を見てはしゃいでいた人がいうセリフじゃない・・・。

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