転生生活三日目(4)
精霊車が動き始め、速度が安定して揺れが収まると、テンキが話しかけてきた。
「チシロさん、改めて久しぶり!
転生したばかりなのに、もうギルドに入るなんて、なかなかやるじゃねえか!」
「こちらこそ、今日は宜しくお願いします。
そういえば、テンキさんもギルドに入ってますよね。 確か、『赤銅』でしたっけ。
テンキさんはギルドに入って長いんですか?」
「そうだな。 もう、『赤銅』に入ってかれこれ3年ほど経つか。
時が経つのは早いなぁ」
「テンキさま、質問をしたいのですが、よろしいでしょうか」
「おっと・・・。 ああ、マテラさん、だったっけ? 質問? 答えられることなら何でも答えてやるぜ?」
急にフードから飛び出したマテラの対応にも大人に対応するテンキ△
そうそう。 色々と質問したいことはあるんだよな。 でも、まずは何から聞くべきか・・・
まあ、ひとまずマテラに任せて見守るというか、聞くに徹することにしよう。
「そうですね。 聞きたいことはいろいろあるのですが・・・。
まずは、転生者の立場から見て、この世界はどうなんですか?」
「『この世界をどう思うか』か。 難しい質問だな。
まあ、第一印象は本当に「色々な人」がいる。といったところかな。
それに、種類が豊富なのは人だけじゃなく、動物や植物、文化に至るまで。
聞いた話では、この世界の人口の1割は『転生者』らしい。 そうやって、色々なものが交わった世界だから、飽きることがない。
だけど、これだけは言えるのは、俺の前世と比べたらものすごく『ましな世界』だな。 ま、これに関しては前世が酷すぎたとも言うのだが・・・」
話を聞くと、テンキの前世は世界中で戦争をしているような物騒な世界だったらしい。
誰もが『炎力』と呼ばれる『異能力』を使うことができ、常に争いが絶えないとか。
話を聞いていると、どうやら同じ『転生者』ではあっても、自分が前いた世界とは全く違う世界から転生してきたようだ。
試しに「他の転生者にはあったことあるか」と聞くと、「あったことはあるが、自分と同じ世界から転生してきた人間にはほとんど会わない」らしい。
「そうなんですか。 異世界って言っても、いろんな異世界があるんですね・・・」
「そうなるな。 ところで、チシロの出身世界はどこなんだ?」
出身世界?
自分の世界についている名前なんて知らないよ!
「えっと、世界?」
「ああ、そっか。 おうい、ラビちゃーん。 ちょっとこっち来てー」
「はい・・・。 お呼びでしょうか・・・・・」
テンキさんは、何かに気がついたようなそぶりを見せて、ラビを呼び出す。
「ラビちゃん、チシロさんの出身世界の名前ってわかる?」
「チシロさんの、出身は、確か・・・『チキュー』と呼ばれる世界で・・・です。
それが、どうかしたんですか?」
「いやさ、チシロが『自分の世界の名前なんて知らない』みたいな顔をしているからさ。
というか、俺の時も似たようなことがあったからさ」
なるほど。
自分の世界の名前を知らないことは「転生者あるある」らしい。
そして、「世界名:地球」って、それ星の名前とちゃうん?




