Sランク冒険者認定試験(9)クエスト1(幕間)(1)
「おい、あいつら早速『祭壇』に向かうみたいだぞ!?」
「なるほどな。 今まで来た冒険者どもは山に入って適当に魔獣を狩るだけの対処療法だけして帰っていったが、今回のは違うみたいだな」
「ああ。 聞いた話によると、ちょうどこの頃『Sランク冒険者認定試験』が始まったらしい。 もしかしたらあれもその一人なんじゃないか? 見るからに雰囲気が違う・・・」
「どれ、俺にも見せてみろ・・・あ、あいつ! よくみたらあいつ、近頃噂のオン・クガネじゃねぇか!? 俺あいつを、この前の襲名戦争で見たんだが・・・凄まじかったぞ、あの戦いは!」
「そうか。 そういえばお前、この前用事ができたとかで村から出てどっかいってたな。 なんだよ、そんなんだったら俺も連れてけよ!」
「いや、俺はマジで、向こうにいる親戚から『手が足りないから来い』って言われて行って、ほとんどずっと馬車馬の如く働かされてただけだからな・・・。 まあそのおかげで『黄金』の試合を何試合か見ることもできたんだがな!」
「ああ、そいつぁ、お疲れさん」
「ん? ってことはもう片割れはもしかして、それこそ噂のクガネチシロか!?」
「いや、ちげぇな。 クガネチシロの試合は遠くで見ただけなんだが、その時見た感じじゃ確かに金髪だったし、体格もだいぶ小柄だったはず・・・」
「確かに、あそこにいるのの髪は青いし、背丈も女性としてはそこそこあるか。 じゃあいったいあいつは何なんだろうな。 『黄金』のメンバーか何かか?」
「もしかしたら、ガールフレンドとか!?」
「まさか、デート気分ってか?」
「おぅおぅ、こんな辺境の村で、何をするつもりなんだい、お二人さん?」
「「「・・・・・」」」
「いや待て、冷静に考えろ? 確か『Sランク冒険者認定試験』では『弟子を育てる』みたいな課題があっただろ。 もしかしたらそれなんじゃねぇのか?」
「それってのはつまり、あの女はオン・クガネの弟子ってことか? なるほど。 そういやさっき、あの女はオン・クガネのことを『オン先生』って言ってた・・・気もするな」
「確かに。 そういえばオン・クガネが『Sランク』に挑戦するって噂も聞いたことがあるな」
「なるほどな。 俺らの依頼を、弟子の育成のために使おうって算段か。 まあ俺らとしては、問題さえ解決すりゃなんでもいいんだがな!」
「それについては俺も同じ意見だ。 まあ、全く憤りがないか? って聞かれると、そりゃ複雑な思いもあるわけだが。
それにしても、並みの冒険者じゃ見向きもしなかった『祭壇』の問題に、来て早々気づくとは・・・」
「もしかしたら、俺らの村が抱えている問題を解決することが、できるの・・・かもな」
「みんな、伏せろ!」
「!!? ど、どした? 何が・・・?」
「ふぅ、危なかったぜ! ったく、さすがは『Sランク候補』ってところか?」
「ああ。 あいつ、俺たちのいる方向にピンポイントで振り向きやがった・・・」
「まさか!? 俺らが何年山に入って狩をしてると思ってるんだ? まさか気配を漏らしたやつでもいたのか?」
「いや、そんなことはなかった。 俺らの隠形は完璧だった。 気配も消していたし、視線をずらして誰も直視はしていなかった」
「じゃ、じゃあ、たまたまこっちを向いただけ・・・とかじゃねぇのか?」
「違うね! あの感覚は、俺が昔、ヘマして魔獣に察知された時と全く同じ感覚だった・・・。 あれは絶対こっちに気づいていたね」
「・・・つまり、俺たちは単に見逃されただけ・・・ってことか」
「さすがは『Sランク候補』・・・。 人間卒業試験に挑むだけのことはあるって、ことか」
「あらすじを読み返したらあまりにもそっけなかったんで、人気そうなワードを書き加えてみたっす」
「効果があるかはわかんないけど、少しでも読者が増えるといいね!」