幕間1(3)
「こんばんは、チシロです。 ラビさん、お久しぶりです。 今、少しお時間よろしいですか?」
「はい・・・大丈夫です。 何かご用でしょうか」
「実は、いろいろあって、ギルドに参加することになったのですが、『ギルドクエスト』に参加するのに人数が足りなくて困っているんです」
「そうなんですか。 それは大変・・・ですね」
「そうなんです。 そこでなんですが、ラビさんにご協力をいただけないかと思いまして」
ラビにメンバー募集を協力してもらえないか打診をしてみると
「協力するのは、構わないのですが。 どんなクエストをお手伝いすればいいのですか?」
お手伝い? 別に張り紙を貼ってもらえればそれでいいんだけど・・・。
難易度によって目立つ場所とかがあるのかな?
「挑戦したいと思っているクエストは、『山龍討伐』というクエストで、必要なメンバーは、最低あと3人です」
「ああ、あのクエスト・・・ですか。 確かゴールドランクのクエストですよね。 ということは、報酬は山分け・・・ですか?」
報酬?
そういえばそうか。 メンバー募集するのなら、そういうルールもちゃんと決めないとダメだよな。
ラビには少しの間待ってもらって、アウラに報酬をどうするのか聞いてみると「別に、現状お金に困っているわけでもないので、『等割』でいいって伝えてください」ということだった。
アウラによると、「等割」とは
・基本報酬の1割は依頼を受けたギルドが受け取る
・残った報酬の8割はメンバー全員で等分に分ける
・最後の1割は、経費に充てる
という感じのルールで、参加者優遇のルールとして一般的知られているらしい。
ちなみに、ルールによっては依頼元のギルドが5割以上持っていくことも珍しくないので、この分配方式はかなり良心的な方なのだとか・・・。
「ラビさん、今、うちのギルドのマスターに確認を取ったところ、『等割』でいいらしいです」
「ありがとうございます。 あの、私以外に、もう一人・・・声をかけてもいいでしょうか・・・」
???
それはつまり、メンバー募集を複数人でやるってこと? 何かこっち側に不利益があるかな?
よくわかんないや。 まあ、ここまで来て「それはダメ」とも言えないし、別にいいか。
「構いませんよ。 他に何か必要な情報はあるでしょうか」
「ええと、大丈夫です。 早速準備を・・・ 明日の朝にはそちらに着くように、します。 詳しいことはそちらで直接お聞き・・・しますね。
『クエストに参加するのは久しぶり』なので、腕が落ちていないか心配なのですが・・・精一杯頑張ります。 よろしくお願いしますね?」
「・・・?」
あれ? ラビが参加するの? あれ?
「チシロさん、今、何か食い違いがありませんでしたか?」
「ま、まあ、これで二人?確保できたわけだし? あと一人集めればいい話だし?」
結局、宿の主人に「この街で、クエストに協力してくれそうな人はいないか?」と聞いたら、「水クセェことを言うなや!」という感じで、宿の主人自身が参加する感じになった。
ともかく、こうしてトントン拍子で5人メンバーが集まったので、翌朝から『山龍討伐』に向かうことにした。




