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黄金戦争(34)とある一流冒険者達による海上戦争

 アウラとソーダの戦いは熾烈を極めていた。


 剣と剣がぶつかり合うたびに巨大な衝撃波を生み出し、海上には巨大なうねりができていた。

 大量の『火炎』や『雷撃』の魔術が飛び交い、互いが生み出した自動攻撃機能を備えた攻撃兵器(ドローン)を焼き尽くしていく。


 もしここが何もない海上でなければ、今頃あたりは焼け野原になっていただろう。

 戦いの余波によって巨大な水柱が立ち上がり、巨大なうねりを生み出しており、離れた地域でも津波の恐れがある。

 実際は多くの都市で波に対して『堤防式結界』があるため被害は出なかったのだが、多くの地域で念のために避難警報が発令されていた。


「・・・やりますね、ソーダ。 私の『切り札システム』に対してここまで対抗できるとは・・・」

「ヴァッシーこそ! 私の『切り札システム』も洗練させたつもりだったのですが、今のところは互角のようデース!!」


 アウラやソーダのような戦闘方法は、一般的に『切り札システム』と呼ばれていた。

 とは言っても一般的な『切り札システム』では市販の(・・・)ヴァシランド・カードを上手くやりくりして戦うことになるため、一度の戦いで用いる切り札(カード)は一枚となるのが基本である。

 そういう意味ではその場でカードを生産することすら可能なアウラとソーダの戦い方は、『切り札システム』の亜種といったところだろうか。


 ちなみに余談だが、過去に『ヴァシランド・カード』として販売されていたカードの生産者は実は、ほとんどはアウラではなくソーダであった。

 アウラは一枚一枚のカードをその場の思いつきで作成するため、一枚ごとに性能が微妙に異なり商品化には向かず、逆にソーダは論理設計をしっかりと組み上げてからカード化するため、安定的に低コストのカードを作ることが可能だったためでもある。

 また、当時アウラが作っていたカードは基本的に『アウラ専用』に組み上げられており、とても他人には使いこなせないほどに繊細なカードだった。

 ではなぜ『サウダージ・カード』ではなく『ヴァシランド・カード』と呼ばれるていたかというと、それは単に『誰が使っているか』の問題が大きかった。

 『ヴァシランド・カード』が発売された当時、ソーダは基本的に『黄金』の拠点から離れることもできず、対してアウラは各国各地で最高難度のクエストを達成し続けていた。

 もともと『ヴァシランド・カード』は『黄金』によって発売された『汎用カード』という名前の商品だったのだが、「アウラ・ヴァシランドという一流冒険者がこのカードを使っている」ということが有名になり、次第に『ヴァシランド・カード』という名前が定着していった。

 つまり『ヴァシランド・カード』はアウラが作っている(・・・・・)カードではなく、アウラが使っている(・・・・・)カードなのだが、そのことを知る人間は割と少ない。


「ですがヴァッシー! 私は、どうしてもこの勝負に勝ちたいんデス! 悪いですが、そろそろ『奥の手』を切らせてもらいマース!!」

「私は! 私は!!! チシロさんやマテラちゃんや・・・みんなのためにも、負けるわけにはいかないんです!」


 ソーダは自身の持ち札を全て一度魔力に還元し、そこから生み出したたった一枚のカードを具現化した。

 それは一本のショートソードだった。

 あまりの魔力の強さに剣の周りの空間が歪んでしまうほどで、絶大な威力を秘めていることは間違いない。


 対してアウラは全ての持ち札を海に投げ捨てていく。

 最後に残ったのは、一振りの木刀だった。

 アウラは腰に下げていた木刀を大切そうに抜刀し、切っ先をソーダに向けて言い放つ。


「チシロさん、マテラちゃん! 私に力を貸してください!!

 さあ、勝負です、ソーダ!!!」

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