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転生システムに致命的エラーを発見してしまったのだが  作者: みももも
第零章

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転生生活二日目(9)

「ですから、そういった場合でも損害は私たちのギルドが全て請け負いますので」

「いやぁ〜。 でも、やっぱり、心配だからなぁ。 例えば、敵対する集団が攻撃してきたり・・・」

「敵対って・・・。 それに、ギルド間の抗争に周りを巻き込むのはタブーです! 絶対にありえません」

「絶対じゃと? 世の中には絶対なんてないんじゃい!」


 宿を出ると、アウラと村長が言い争っていた。

「うわぁ・・・泥沼だこれ」

 思わず声が漏れると、アウラがこちらに気がついたようだ。

「チシロさん、チシロさんもこの石頭に一言、言ってやってください!」

「石頭とは何じゃ! それが頼みごとをする側の態度か!」

「でも、頭が硬いことは確かじゃないですか。 この、屁理屈石頭!」

「なんじゃと? この、落ちぶれギルマスの分際で!」

「!? それは聞き捨てなりません! 誰が・・・」


 うん。アウラって、熱くなると人の話を聞かなくなる節があるよね。

 よし、ここは仕方がない。

「マテラシュート!」

「!? チシロさm・・・」

 フードの中から出てこようとしないマテラを引っこ抜いて、アウラに向かって投げつける。

 (投げられたマテラはアウラの頭に直撃したが、やさしさスキルのおかげで、双方ダメージはゼロだった)


「何ですか!? 誰ですか私に物を投げつけ・・・ あぁ〜、マテラちゃんだ〜!」

「ゲェッ・・・、チシロさま、恨みますよ・・・」


 アウラが落ち着いたところで村長さんと話をしようとすると、ようやく宿の主人が現れた。

「またせたな! ここから先はワイの出番や!」


 宿の主人が一番に行ったのは、交渉に加勢することではなく地固めを行うことだった。

 この集落は都市部から離れた森の中にあるためか、人口も両手で数えられるほどしかいない。

 集落の一人一人を説得し、世論を作り上げてから村人全員で交渉に向かうことにしたのである。

 この主人、なかなかの策士である。


「・・・それに、この森の異常を解決してくださったのも、このチシロさんや。 言うなれば、この村にはこのお方に恩がある。 かけられた恩は、返さねばならんやろ?」

「それも・・・そうか」

 村長は、渋々ながらもうなずいた。

 理屈に納得したと言うよりは、村人全員の世論が傾いたのを肌で感じ取ったようだった。 


「チシロさん、でしたか。 わしらとしても、恩を受けっぱなしというのは落ち着かん。 何か、望みがあるならば言ってくだされ」

「え、じゃあ、この村をギルドの拠点にしたいんですが」

「もちろんですじゃ! 皆も、異存はあるまい!」

「「「オォーーーッ」」」


 アウラが「なんだこれ」みたいな呆れた顔をしている。


 まあ、世の中なんてそんなもんだよ。 真面目に一直線が、実は一番遠回りだったり。

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