転生生活二日目(4)
「・・・それで、私はチシロさまのお守りとしての人格を与えられて、この世に生まれたわけで」
「つまり、マテラちゃんの後ろにいる人が、マテラちゃんのお父さんってことね」
二人の会話はようやく終わりを迎えたらしい。
マテラの根気強い説明により、ようやくまともな会話ができそうになったので、自己紹介をする。
「こんにちは。 自分はチシロです。 一応マテラの生みの親・・・ということになります」
「チシロさん! いえ、お義父さん、マテラちゃんを私にください!」
「い、いえ、ダメです、ダメでよね?チシロさまは私を他人に譲ったりはしませんよね?」
「じゃあ、私がマテラちゃんの物になるよ。
それかマテラちゃんは私の『ご主人様』になってよ! それが無理なら『神様』でもいいから!」
「ムゥ〜! ダメです! 私はチシロさまのものなんです! 知らない人について行っちゃダメなんです!」
なるほど、娘を嫁に出す親というのは、こういう気持ちなのか・・・。
って、そうじゃなくて!
ダメだ。話が前に進まない・・・。
「と、とりあえず、こんな道の真ん中で立ち止まって話し合うのもなんだし、先に進もうか。
あと、アウラさん、マテラ(お守り)は誰にも譲る気はないですし、本人もいやがっているので諦めてください・・・」
「チシロさまっ! そうです! チシロさまの言うとおりです!」
「マテラちゃん、私、諦めないから!」
「だから、あきらめてください~」
しばらくの間二人は歩きながら話をしていたが、マテラは逃げるようにフードの中に潜り込んでしまった。
「ところで、チシロさん?でしたっけ? さきほどから森が静かというか、魔獣と全く遭遇しないんですけど、、何か特別な道具でも使っているんですか?」
「いや、なんかよくわかんないんだけど、この森の魔獣はエルフに対して襲いかからないらしいです」
「へぇ〜、チシロさんは、エルフだったんですか。 その耳は飾りじゃなかったんですね」
何だろう。マテラが引っ込んだ瞬間に会話がまともになった・・・。
ともあれ、そんな感じでのんびり進んでいたら、高さが約5メートルの巨大な装置が見えてきた。
装置を中心に樹が伐採されていて、小さな広場のようになっている。
「チシロさん、着きましたか? アウラさんはどっか行きましたか?」
「あぁ〜!マテラちゃんだ~。 どうして隠れるの? もっとお話ししようよ、おはなし!」
「げっ!まだいる・・・。 チシロさん、このクリスタルを装置にはめてください。 では、すいませんあとはよろしくお願いします」
マテラは、こぶし大のクリスタルを自分に手渡すと、即座にフードの中に潜っていった。
「やっぱり、チシロさんの目的地も『あの装置』でしたか。
私もなんとか近づこうとは思っていたんですが、なにせ魔物の数が多くて・・・」
「・・・宿の主人の話では、このクリスタルを交換すればそれでいいとのことです。 とっとと終わらせてしまいましょう」
「そうですね。 装置さえまともに動けば、この森の異常も落ち着くはずです」
マテラが隠れてさえいれば、落ち着いた感じの美少女なんだけどなぁ・・・。




