マテラ(2)
コンコンコンコン・・・・
チシロさまがお休みになられてから10分ほど経った頃、ドアをノックする音が聞こえました。
「お客さーん、ちょっと相談があるんですが、今、時間はよろしいですかい?」
どうやら、宿の主人のようです。
チシロさまを見ると、ぐっすりとお休みになっておられます。
せっかくお休みになられたのに、起こしてしまうのも申し訳ないですし、ここは私が対応しておきましょう。
「お客さん?聞こえてますか〜?」
「はいはーい、聞こえてますよ〜。今そちらに向かいますね〜」
「!?」
浮遊魔法を使いドアの隙間から部屋の外に出る私の姿を見て、宿の主人は目を丸くしていました。
そういえば確か、宿の主人は私の存在を知らなかったわけで、そこに突然私が現れたら驚きますね。
これは配慮が足りませんでした。 これからは気をつける必要がありますね。
・・・まあ、過ぎてしまったことは仕方がないので、
・チェックインする時に「一人」だと告げたが、実際には「二人」いたこと
・私は、チシロさまの精霊みたいなものだということ
・チシロさまはすでにお休みになられたこと
の三点を説明したら、わりとすんなり理解してもらえました。
「そうやったか。 まあ確かに、お客さんには『エルフ』っぽい雰囲気もあるしな。
エルフなら精霊の一人や二人、連れていたとしても不思議ではありやせん。
料金のことなら気になさるな! さすがに、精霊様に対してまで料金を請求は出来やせんです」
「はあ。 そんなもんで、ございますか」
・・・・・?
はて、私は『精霊』だったのでしょうか。
たしかにチシロさまの種族には『エルフ』が含まれていたような気もしますが・・・。
まあ、多少の誤解はあるようですが、納得してもらえたならそれでいいです。
それよりも、宿の主人から用件だけでも聞いておくことにしましょう。
「それでご主人、チシロさまに相談とは、一体どのようなことで?」
「ああ、そのことなんだがな・・・




