街(四日目)(10)
ルールを追加します。
<<公開販売・公開買取>>
・チームごとに設定できるのは販売、買取それぞれ一種類の商品のみ。
・『ギルド』で設定しているよりはゆるいが、それでもロット単位での販売、買取のみ設定可能。
・販売、買取の成立時、『ギルド』に一定の手数料を支払うことになる。
とにかくこれで一応全員の自己紹介(?)が終わったので、チームの役割を決めることにした。
とは言っても、黄金の部下の方の人は『値切りが上手い』ので当然『仕入担当』に。
舌打ち少女は『直接交渉は苦手』ということなので『経理担当』に決まってしまったので、自分と吸血少女は残った『販売担当』に選ばれた。
消去法で。
まあ、「そんなに言うなら何がよかったの?」って聞かれたら困ると言うか、そこまで商売の経験があるわけでもなかったので、人数が二人の役職である『販売担当』でちょうどよかったのかもしれない。
と言うか、最後の手続きだけその担当者が行って、他の部分はメンバーで協力し合うことになりそうなので、むしろ今は「ゲーム内でのこのチームの立ち位置を考えること」と「各自の序盤の立ち回りを考えること」を考えるのが重要なのだとか。
「俺が思うに、このゲームは序盤、中盤、終盤の三つのフェーズで行われることになることになるはずだ。
明確に『これ』といったタイミングはないが、お前らは一応その流れを意識しておいてほしい」
「なるほどっす! つまり俺っちは、とにかく安く仕入れまくればいいってことっすね?」
「違います。
序盤では『安く仕入れること』以上に『確実に元を取れる商品を仕入れる』ことが重要になるということです。
そうですよね? バオさん?」
「あ、ああ、そのためには
まず、ゲーム進行上、特に序盤から中盤で必要になりそうなアイテムを仕入れて、仕入れたアイテムはできるだけ即座に売る。
または、他チームが仕入れていないアイテムを見極めて仕入れる。 そして、そちらはできれば独占する。
この二つの戦略のどちらかか、両方で進めていくことにする!
ということで、販売担当の二人はまずは、市場の調査を行ってもらいたい!」
「わかったでち! 任せるでち!」
「役割については理解したけど、具体的に、自分たちはどんなことをすれば・・・?」
「そうでち! 市場調査って、何をするんでち?」
「そうだな。 確かに、ゲームがどう進行するかの予測もまだ曖昧だしな・・・。
よし。 まずは俺とトゥールである程度の在庫を確保するから、メリアさんは周りの様子を見ながら販売価格を設定してくれ。
それで販売組の兄妹は、とにかくこのゲームに関する情報を集めてくれ!」
要するに、自分と吸血さんは自由行動ってことになった。
この『端末』を使えば簡単に連絡を取り合えるようだし、方針が固まるまではそれぞれで行動したほうが効率的ということなのだろうか。
てか、自分と吸血さんは、兄妹どころか、血の繋がりもないどころか、もっというと互いに名前すら知らないんだけど・・・。