街(5)
「それではお客さん、まずは『ギルドに合うのはどんな人材なのか』を調べましょう。
はじめに、お客さんの所属するギルドがどんなギルドかを簡単に教えてください。
ギルドの規模や、普段の活動内容についてでも構いませんよ」
「規模ですか。 まあ、基準を知らないんだけど、人数から考えれば小規模なギルドになるかなあ。
あと、普段の活動・・・、活動内容? うちのギルドの活動内容ってなんだ・・・?」
規模についてはメンバー数3人なので『極小ギルド』で間違いはないと思うけど、黄金って、何をするギルドなんだ?
「お客さん、例えば『生産系』とか『戦闘系』『クエスト系』みたいにざっくりした感じでいいですよ。
『極小ギルド』ということですので、まだ方針が決まっていないのかもしれませんね。
それか、もし差し支えなければお客さんの『ギルド名』を教えていただければ、実績を調べることもできますので、世間的に何系のギルドとされているのかを調べることもできますよ」
「あ、そうか。 じゃあそれでお願いします。
自分の所属するギルドは『黄金』というギルド、なんですが、つい最近まで活動停止していたみたいなので、あまり過去の情報は当てにならないかもしれません」
「クガネ・・・クガネ、ですか。
どこかで聞いたことが・・・、って、クガネってもしかして『黄金』のことですか!?」
「はい、クガネはクガネで、それ以外の何物でもありませんが・・・。
というか、黄金ってそんな有名なギルドだったんですか?」
「はい・・・、いえ、いまではそこまで有名ということもないのですが・・・。
念のために確認なのですが、『クガネ』というのは『(元)アウラ』のことで間違いないですよね?」
アウラ? もしかして有名なのはクガネ自体ではなくてアウラのことだったのだろうか?
「ええ、一応アウラは黄金のギルマスです。
すいません、自分は最近ギルドに入ったばかりなので、過去のこととかはあまりしらないんです」
情報屋のお兄さんは「お客さんの言う『クガネ』が『黄金』だとすれば、5大ギルドの一つだし極小ギルドということはありえない・・・。 でも確かに最近『黄金』の話はほとんど聞かないし・・・」と、完全に自分の世界に入ってしまった。
そういえば今思い出したんだけど、アウラに見せてもらった『黄金』のギルド情報では確かに昔は大ギルドだったような気がする。
なんか、急速に落ちぶれていっているところばかりに目がいっていたけど、一時期は数万人以上のメンバーもいたんだったっけ?
でも少なくとも今は、メンバー数3人の極小ギルドなので、嘘は言っていない。
嘘は言っていないんだけど、誤解を招いたことは事実だし、わかる範囲で補足しておくことにしよう。
「過去のことはあまり知らないですけど、何年か前に一気に落ちぶれて言ったみたいです。
一時期は開店休業状態だったみたいですけど、なんか活動再開したので『メンバーも募集しよう』ってことになった・・・んだと思います。
あ、そういえば、とりあえずは『事務職員にきてほしい』って言ってた気もします」