表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
166/694

帰宅(4)

 精霊車が着陸すると、早速おやっさんが村長さんと言い争いを始めた。

 「なんでこうなった?」「いや、折角だから。」「折角だから?」「折角だから『ベスト』を尽くそうかと」「その結果が?」「城を作る事にした。 気がきくやろ」


 どうやら、村人たちに悪意はなかったというか、むしろ『当然の結論』として全会一致で城を作る事に決まったらしい。


 ちなみに、土地はもともと村の所有で、城を作るのに使う材料は村人たちの在庫や土地を切り開く時に伐採した材木などを使っている。

 また、村人の中には建築家もいるようなので、人件費もかからない。

 ある意味自給自足である。


 まあ、『善意』とはいえ負担をかけていることには間違いないので、村人たちには「今回の『山龍討伐』で得た報酬額をそのまま皆さんにお配りしますね」という事で解決した。

 村人たちも最初は「俺たちは好きでやってるだけだから、報酬などいらない」と言っていたが、おやっさんが「こういう場合、受け取らない方が失礼に当たるんやないか?」と説得したら納得してくれたようだ。


 今では、「折角予算があるなら、もっとすげぇ拠点を建ててやろう」と変に気合が入ってしまっている。


 ちなみに、実際のところ『黄金』は『金銭的な報酬以外』に『ギルドポイントによる報酬』を獲得しているので、たとえ報酬額をそのまま渡してもまるっきりタダ働きになるわけではないし、そもそも現状『黄金』には大金の使い道がない・・・。


「チシロさま、アウラさん(ボロ雑巾)が搾りかすみたいな顔をしていますが、大丈夫でしょうか」

「マテラちゃん・・・、いえ、私は大丈夫です。

 ただ、これだけ大きい拠点になると『税金関係』の書類もまとめなきゃダメですし、建物を管理する使用人も雇わないとダメですし、『ギルド』に登録する『拠点情報』も複雑になりそうで、死ぬほど忙しくなりそうなだけですから」


 いや、本当に大丈夫か? それ。

 とはいえ、自分に手伝えることも特にないし・・・。


 一応「自分も何か手伝いましょうか」とは聞いてみたけど、「いえ、大丈夫です。 これはギルドマスターの役割ですから」と頑なに断られてしまった。

 まあ、本人も「大丈夫」と言っているし、ここはひとまず信じることにするが、おやっさんには後でこっそり「無理をしていそうなら止めてください」とでも伝えておくことにしよう。



「そういやアウラ、『黄金』宛に何通か手紙が届いとるみたいやで」

 おやっさんは、村長さんから受け取った『黄金』宛の封筒をアウラに渡した。

 『黄金』の拠点にはおやっさんの宿が登録されていたのだが、おやっさん自身が留守にしていたのでかわりに村長さんが受け取ってくれていたようだ。


「ありがとうございます。 ・・・ああ、これは『魔術契約』の完了書ですね。

 ということは、山龍討伐は無事完了したようです」


 実際は9体しか『討伐』していないのだが、15体分の討伐が認められたということは、少なくとも何体かは1体で2体分としてカウントされたということだろう。

 まあ、あれだけ巨大で強力な山龍だったので、あり得るとは思っていたけれど。 とにかくこれで『黄金』がペナルティを受けることもなさそうだし、無事一件落着という事になる。


「それと、これは? チシロさん、チシロさん宛に『ギルド』から封筒が届いているのですが?」

「え? 自分宛ですか? なんだろ・・・」

「チシロさま、『ギルド関係』の資料かもしれません。

 チシロさまはギルドに初参加という事になりますですので・・・」

「うむ。 もしくは『転生関係』の資料やもしれぬの。

 確かチシロは転生して間もないのであろう?」


 封筒を開封するには『本人のステータスカード』が必要になるらしい。

 アウラから封筒を受け取り、ステータスカードをかざすと封筒が開いて中には一枚の書類が入っていた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ