クエスト(4)
森と言っても、ジャングルのように前も見えないほど木が生えているわけではなく、木々の間からは太陽光が差し込んでいるし、そこまで整備はされていないものの、道自体は存在した。
散歩をするにはいい場所かもしれないが、自分とマテラは散歩をしに森に来たわけではない。
「ところでチシロさま、『薬草』と『雑草』って、何が違うんですか?」
「いやそれは、むしろ自分が聞きたいことだけど・・・」
現代日本で生活していた自分には、当然のことだが薬草の知識などない。
というか、植物に関する知識自体がほとんど無い。
ようするに、今のところ全てはステータスカードの『鑑定』だよりということになる。
試しに一本、それっぽい草を引き抜いてステータスカードで『鑑定』してみると
<<草(名称不明)>>
・効果:不明
と表示された。
「名称不明に効果不明って・・・実質『何もわからない』ってことじゃ・・・」
「チシロさま、どうやらステータスカードで『鑑定』できるのは『ステータスカードに登録されたアイテム』だけのようです。
この草のように特に効能も登録されていないものは基本的に『不明』と表示されるようですね」
マテラの説明によると、登録された薬草を判定することは『鑑定』で出来るのだが、未登録の植物の『解析』はステータスカードではできないようだ。
改めて『薬草採集』クエストの概要を読み返すと
<<薬草採集>>
・規定量集めた薬草を、報酬と交換します。
・鑑定可能の薬草は、鑑定額 × 0.8 の値段で買い取ります。
・鑑定不可の植物は、効果を実証できる場合のみ買い取りを行います。
と書いてある。
ということは、ひたすらそれっぽい草を拾っては鑑定して、拾っては鑑定して・・・を繰り返して、まずは薬草っぽい草を見分けられるようにならなきゃならないってことだろうか。
地道というか地味というか・・・世の中、そんなに甘くないと言うことか。
「マテラ、さすがにこれは面倒そうだし、ちょっと別のクエストも見てみることに・・・」
「チシロさま、そのことですが、・・・ちょっとその草を貸してもらえますか?」
「え? いいけど。 どうするの?」
「調べてみますので、少しの間待っていてください」
マテラは自分の手から『謎の草』を受け取るとフードの中に放り込み、マテラ自身もフードの中に飛び込んでいった。
何か気になることでもあったんだろうか。