クエスト(3)
街を出て西に向かって街道を歩いている途中、野生のスライムに出会ったが、結果はログの通りだった。
棒で殴ったり、ナイフで切ったり、突いたり
他にも、石を投げつけてみたり、土をかぶせて埋めてみたり
思いつくことはだいたい全部試したけど結果に大差は無く、スライムに攻撃を通すことはできなかった。
幸いなことに?スライムにはこちらが攻撃をしていたとは気付いていなかったので、スライムは放置して先に進むことはできたわけだけど・・・。
「さあ、マテラ!さっさと素材採集のクエストを進めよう!
えっと、一番お手軽な採集クエストはなんだったっけ!?」
「・・・チシロさま。 まあ、そうですね。過去を気にしても何も変わりません・・・。
採集クエストの中で難易度が低いのは、『薬草集め』です」
過去? スライム? 戦闘? 何それ。
そんなことよりも、薬草集めか。
こう言うと薬草集め専門家(いるのかどうかは知らないが)に失礼かもしれないけど、地味というか何というか・・・。
というかそもそも
「薬草なんて、どこに生えてるの?」
「そうですね。このペースで歩けばもうじき森が見えてくるはずです。
森に入れば何かしらの薬草は手に入ると思いますが・・・」
マテラの言う通り、しばらく歩くと森が見えてきた。
「チシロさま、森には危険な野生生物もいるらしいです。 最大限の警戒は必要ですが、覚悟もしてくださいね!」
「覚悟といったって自分の攻撃じゃ・・・いや、何でもない」
過去に戦闘なんてなかった。 あれはそう、ちょっとスライムと戯れていただけだから!
でも戦闘はもういいや。 なんていうか、もうおなかいっぱい。 そう、実は自分は平和主義者だから!!
「チシロさまでは戦闘にならないので、危なそうだと思ったらすぐに逃げましょう!」
マテラが何か言っているけど「キーコーエーナーイー」。
とはいえ出会ってしまってはどうしようもないことも事実なので、最大限に気をつけるしかないだろう。
そして、実際に出会ってしまったらもう、それは全力で逃げる。
・・・なんで自分は、異世界に転生してまで野生生物におびえる生活を送っているんだろう。
「ああ、もう、帰って寝たい・・・」
でも、最初にもらった300Gも、いつかは無くなってしまうんだよな・・・。
なんとか、生計を立てられるぐらいには稼がないと!