表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/694

山龍討伐二日目(蛇足)(解決編)(1)

 会議が始まって初めのうちは、お互いのギルドが持っている情報を交換し合う形で順調に進んでいたのだが、一通り情報が出尽くしたタイミングで『赤き農民』の幹部から「人質(チシロさん)の身柄をこちらに譲ってくれませんか」という意見というか、要請が出た瞬間から会議の歯車が狂い始めた。


 当の自分はというと、やはり自分が『人質』であるという実感が足りなかったのかもしれない。

 だから、「自分を人質として再度確保する」という意見が出ることを想定すらしていなかったので、つい間の抜けた感じに「ふぇ?」みたいな声を出してしまった。

 しかも、アウラやテンキさんは『赤き農民』の一言に(何言ってんだこいつら・・・)みたいな顔をして黙っているし、『赤き農民』の方も、『黄金』のメンバーの返事を待つ形で口を閉ざしている。


 結果的に、自分が最後にはなった間の抜けた一言が強調されてしまう。


 やめてー、黙らないでー。

 誰かなんかはなして。 そして、さっきの一言を水に流してー。


「「「・・・・・・・」」」


 うん。 もういいや。


 気持ちを切り替えていこう!

 冷静になって考えれば、人質を拘束しておきたい。  あるいは拘束しておくべきだという『赤き農民』側の考えは、理解できないこともない。

 というのも、自分は現在、「なぜ『人質』状態として認められているのか、誰にもわからない」ような不安定な状態で、このままだと、何がきっかけで『人質状態』が解消されてしまうかわからないからだ。


 自分が人質から解放されてしまうと、例えうまく解決できる方法が見つかったとしても『赤き農民』には『魔術契約違反』のペナルティが降ってしまうことになってしまい、それまでの努力は全て無駄になってしまう。

 ただまあ、ギルドマスターであるディーノさん自身は「やっぱりんなこと頼める立場じゃないよなぁ・・・」と尻すぼみに付け加えていて、あまり乗り気ではないようにも見える。

 幹部達が暴走しているだけか、あるいは「無理だとは思うけど一応駄目元で言ってみよう」みたいなつもりだったのかもしれない。


 どちらにせよ今更自分が拘束されるようなつもりもないし、そんな必要性もないでしょ。

 『赤き農民』と平和的に解決したいというのも、そもそもは自分の趣味というか、自己満足のために過ぎないのだから。

 そもそも仮に『赤き農民』が潰れたとしても多少の罪悪感を感じるだけで自分たちや『黄金』に損害はないわけだし、そのために自分たちを危機に晒すつもりは全くない。

 というか、自分が拘束されちゃったら何もできなくなっちゃうじゃん。

 それはつまんないから嫌だな。

 少し自分勝手かもしれないけれど、この話は聞かなかったことにして、とっとと次の話、本題に移ることにしよう。


「ま、まあまあ。 それはさておk・・・」

「チシロさんとアウラちゃんをまた人質に取るつもりですか!? あなたたちは。

 立場をわかっていないのですか? 何様のつもりですか?」

「「「んだと!」」」

「やっぱりテメェらは、俺らと対等に(・・・)話し合いをするつもりがなかったってことなんだな?」

「だったらこっちにも考えがある! おいそこの、双子の傭兵!

 今すぐその人質を拘束しろ!」

「え? そんなの嫌だぞ☆ お断りだぞ☆」

「そもそも〜、あなた達には私たちに申請(・・)はできても、命令(・・)することはできないんです〜。

 まあ〜、そうでなくても『気に入らない』命令に従うつもりはありませんが〜」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ