クエスト(2)
街の武具屋で簡単に装備を整えると、早速街の外に向かった。
この街には東西南北それぞれに一つずつ、計四つの出入り口がある。
ギルドや武具屋で色々と話を聞いているうちに
・東に向かうと、大きな川に当たる。
・北の門から出て、街を幾つか超えると、砂漠地帯がある。
・西側、南側には、広い森が広がっていて、森を超えると山脈が走っている。
ということがわかった。
念のため、この辺り一帯の地図も買い、荷物が増えてきたのでバックパックも買おうとしたタイミングで、
「チシロさま、荷物は全て私が預かっておきましょうか?」
と、フードの中からマテラに言われた。
いやいや「預かる」と言ったって、小柄なマテラが運ぶより、自分が運んだ方が・・・と思っていると、マテラが「まあ、見ていてください」と言って、筒状に丸められた1メートル以上の地図を、フードに飲み込んでしまった。
・・・・・?
「え? なんで?」
「ええ、はい。 このローブのフードには簡単な空間魔法を使ってみました。
結構な量のものを保管できるみたいですけど、他に何かしまっておきたいものとかあります?」
「はあ。 空間魔法・・・そんな便利なものがあったんですか・・・」
「はい。 どうやら私には『魔法を扱う才能』があるようです・・・」
さっきからフードの中に入れてたはずのサポートブックの重さを急に感じなくなった思ったら、どうやらそういうことだったらしい。
試しにマテラに「鑑定」を発動してみると、お守りを鑑定したときとは結果が変わっていた。
<<マテラ・ミト>>
所有者:チシロ・ミト
魔法力:377
触媒:マテラ(お守り)
マテラ自身が触媒になっていることについて訪ねると、
「たしかに、わたしは『マテラ』ですが、この『お守り』も同様に『マテラ』です。 ですが、わたし自身が『マテラ(お守り)』というわけではありません」
と説明された。
正直よく分からないが、要するにマテラ自身は「お守りから生まれた」のであって、「お守りそのもの」ということではないらしい。
ちなみに、攻略本によると、魔法力は「魔法を運用する能力」のことで、目安としては
1~9 → 日常生活では役に立たないレベル
10~99 → 日常生活である程度役に立つレベル
100~ → 仕事に出来るレベル
のようになっている。
マテラの魔法力は350を超えているので、仕事に出来るとかそういうレベルを遙かに超えていることになるわけだが・・・。
せっかくなので、ナイフなどの護身用武器以外の荷物は全部マテラに預け、自分は身軽な足取りで街を出て街道を歩くことにした。