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山龍討伐二日目(11)

 マテラ自家製のポーションを配ったり、回復魔法でけが人を癒やして回りながら事情を聞いているうちにわかったのだが、山龍に襲われていたのは『赤い羅針盤』の中でも『探索班』と呼ばれるグループだったらしい。


 『探索班』と言っても探索だけを行うわけではなく、魔獣の討伐などもよく行うらしい。

 山龍も『極小型』から『小型』までなら倒せるつもりでいたらしく、山龍を探査する装置の設置や設定が終わったので、「山龍討伐を手伝おうと思ったら返り討ちに遭ってしまった」ということだった。


 白黒姉妹も「今回の山龍はなんか変」と言っていたし、『赤い羅針盤』のベテランの冒険者も実力を見誤るほどなので、この山に生息する山龍は一般的な山龍とは少し違うのかも知れない。

 まあ、自分はそもそも『一般的な山龍』を知らないし、まともな戦闘になる前に山龍が消滅したのでその実力もよくわからないんだけどね。


 『赤い羅針盤』の人たちは、さっきの攻撃魔法で山龍を倒したと勘違いしているらしく、「いやぁ、すごい威力の魔法でしたね! さすがです!」とか、中には露骨に「山龍を倒すのにそんな裏技があったなんて、知りませんでした!」なんてお世辞を言ってくる人もいる。

 そりゃ、褒めてくれる分には嬉しいのだけれど、実際は『すごい威力の魔法』を放った感覚では無かったし、まして『裏技』のようなことをしたわけでもないので的外れというかなんと言うか。

 まあ言っていることは適当でもそこに『悪意』などは感じられないから、こちらをだますとかそういうつもりはなさそうだ。

 なんとなくそんな雰囲気だから大げさに騒ぎ立てているだけなのだろう。 まあ話半分に聞いておこう。


 ちなみに、山龍の消滅現象はこのあたりを中心にどんどん広がっているようで、地図上のマーカーもどんどん消えている。

 やはり、この山で()()が起きて、その影響で山龍が消滅しているのだろう。


 たまたまそのタイミングで自分達が魔法を使ったせいで周りからは英雄扱いされてしまっているわけだけど、いつか誤解を解かないと面倒なことになりそうだ・・・。



 その後すぐに、白黒姉妹が戻ってきたので、今後の方針を話し合った。

 二人は「まだまだ山龍を狩り足りない」気持ちがあるようだけど、ついさっき『赤き農民』から「一旦拠点に戻るように」と緊急連絡があったので仕方なく従うことにするようだ。

 地図を見る限りではこの辺り、結構広範囲の山龍が消えているようだし、まだじわじわと赤い点が消滅し続けているので、今から山龍討伐に向かっても無駄足になる可能性が高い。

 ある意味拠点に戻って体勢を立て直すのにはちょうどいいタイミングなのかもしれない。


 さっきから『通話魔法』が安定しないので、詳しい話は聞き出すことができないのだが、『赤き農民』からの呼び出しもおそらく、この『山龍大量消滅事件』に関する情報を共有したいということなのだろう。


 『赤い羅針盤』のメンバーも一度『赤き農民』の拠点に戻るということだったので、「護衛としてついていく」という名目でのんびり移動することになった。


 ちなみに、話し合いの途中から、『赤い羅針盤』の隊長さんも合流したのだが、彼は自分の顔を見るなり「やはり! 妖精使い(あなた)さまの仕業(しわざ)でしたか! いやはや、流石ですなぁ」と、いかにも訳知り顔な雰囲気で語りかけてきた。

 いやいや、一体何が流石なのだろう。 もしかして、変な感じに噂が伝わっているのでは無かろうか・・・。


 と・・・ともかく。 そんな感じで情報収集(ざつだん)をしながら時間を潰していると、『赤い羅針盤』も拠点に戻る準備が整ったようだ。

 自分たちの回復魔法やポーションのおかげか、体力はだいぶ回復しているようだし、いつのまにか森全体を覆っていたはずの『結界』も消滅しているので、道に迷う心配もないだろう。

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