後日談
これで終わりです
「それにしても何で毎日店に来てくれたんです」
自身の兄が原因だからとか
そういう罪悪感で来ていたのかとも思ったが
最近までそれを知らなかったらしいので違うか
「…多分ですけど小学生のときシェフと会ってます」
――――え?
まったく記憶にないんだがそんな過去があったのだろうか
「思い出せないんですが…俺は当時どんなことを言ってました?」
何かキーワードがあれば思い出せそうだ。
「あの時雨が降っていたので学生服の肩を濡らしたシェフが―――お蕎麦屋さんでカルボナーラ頼んでました!」
蕎麦屋…俺の父はレストランを経営しながら蕎麦屋も営んでいる。
そしてカルボナーラをオヤジに頼んで拒否されたのも間違いなく覚えている。
「カルボナーラを作るのかとおもったらペペロンチーノを作っていて」
まさかあの時の――――
「…貴女に食べさせたとか?」
「そうです…!思い出していただけましたか?」
―――正直俺は驚いている。
あんなに小さかった彼女がたった数年でこんなに大きくなっているなんて
これは娘の成長を喜ぶ父親の心境だろうか
それとも――――――
「突然なんですけど彼女とかいますか?」
俺は生憎、人がよりつくような性格ではないので彼女はいない。
「いませんが…」
事実とはいえ悲しくなる。
「よかったらあたしを彼女に、なんて…」
この少女を俺の彼女にする…幻聴だろうか?
「すみません私も貴方もお互いの事を知らないので…」
「やっぱりだめですよね…」
〈まず名前から教えてください〉
<――――はい!>
ここまで見ていただき、ありがとうございました!