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Prologue
西暦二一八〇年五月、アメリカ、ロシア、中国、日本、他113ヶ国――全くの同時刻、大規模な災害が発生した。
約3分間続いた耳を塞ぎたくなるような鈴鳴りの後、"それ"は始まった。
揺れ一つ無いのに、家々が歪な音をたてて崩れ落ち、ビルが歪み、森の木が倒れ……。
しかし、それは地震とは全く別の、もっと異質のものだった。まさに天災というのに相応しく、人知を超えた領域に達する現象だった。
家の崩壊も、ビルの変形も、木の倒壊も、全て一様に、その現象の副産物に過ぎない。
物理法則を無視した、世界のズレ――なんとか倒壊を免れた東京スカイツリー、その六分目あたりから、"スカイツリー"が半分生えていた。