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ゆいこのトライアングルレッスンM——自覚

作者: ハルユキ
掲載日:2026/03/27

『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』のコーナー『ゆいこのトライアングルレッスンM』(むっくん)へ投稿した作品です。


ゆいこ・たくみ・ひろしの原案者は巽悠衣子さんです。

 いつから俺は——


 ◇


「おじゃましまーす! あれ? むっくん、かなちゃんは?」

「ねーちゃん? ビターチョコ買い忘れたって出てったよ」

「そっか……」


 ゆいこねーちゃんは一拍置いて、カバンの中から荷物を取り出す。


 俺は読んでいた本に集中できなくなって、リビングのソファにもたれかかった。


 ゆいこねーちゃんは手際良く髪の毛をひとつに縛り、エプロンの紐を背中でキュッとリボン結びして、丁寧に手を洗った。


 陽光が差し込むキッチンが眩しくて目を閉じたけど、幸せそうな鼻歌がより一層聴こえるだけだったから、潔く降参した。


「手伝う」

「いいの?」


 栞を本に挟み、キッチンへ向かう。


「かなちゃん待ってようかな〜と思ったんだけど、私の分はいつもと変わらないし先に作っちゃおうかな〜って」


 俺はエプロンをかぶり、手を洗いながら話を聞く。


 えへへと笑うゆいこねーちゃんが思い浮かべてる二人を俺は知ってる。


「いーな……」

「へ?」

「あ、や、チョコ作るの楽しそうだなって——」

「うん! 二人で作ったらもっと楽しいね!」


「……ふーん」


 顔が熱くなったのは生クリームを火にかけたからだと思うことにする。


 ◇


「そろそろいいんじゃない?」

「うん。あ、ごめん。袖落ちてきちゃった、まくってくれる?」


 俺はモカ色のセーターの柔らかい袖をくるくる巻いてたくしあげた。


「はい」

「ありがとう」

「あ。ねぇ、いつからつけてたの?」

「へ?」

「ここ。チョコついてるよ」


 左頬を指差すと、ゆいこねーちゃんはお揃いだねと俺の右頬を指差して笑った。


「ほんとだ」


 親指で拭うとチョコがついていた。

 無邪気に笑うゆいこねーちゃんを見て思う。


 いつから俺は——あなたといるのがこんなにも楽しいと思うようになってたのかな。


 ◇


「ひろし、たくみ、これあげる」


「ありがとう、ゆいこ」

「ありがとなっ! 嬉しい」


 チョコをもらえた二人は大事そうに受け取った。


「3月14日は空けておいて。一緒にご飯食べに行こう」

「抜け駆けはずりーぞひろし! その日は車で迎えに行くからドライブしようぜ」

「だったら俺が車出す」


「悪いけど俺は抜け駆けするよ。来年もチョコ一緒に作ろうね、ゆいこねーちゃん」


 それでまた、その笑顔を独り占めさせてよ。


お読みいただきありがとうございます!


「自覚」は自分のことでもあります。

大好きなラジオ『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』が本日2026年3月27日(金)最終回を迎えるとのこと。まだ信じられません。


楽しい時間はあっという間。

この時間がずっと続けばいいのに。


寂しさが、どれだけの幸せをもたらしてくださっていたか教えてくれて、感謝の気持ちでいっぱいになります。


皆さまどうぞ素敵なときをお過ごしください。


(2021年2月26日放送の『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』にて、ご自由にとのことでしたので投稿しました。もしも投稿の仕方に問題がありましたら、すぐにお知らせください。よろしくお願いします。)

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― 新着の感想 ―
一緒にチョコを作る楽しい様子が、二人のやりとりからとても生き生きと伝わってきました。「顔が熱くなったのは生クリームを火にかけたからだと思うことにする。」、この描写も印象的でした。 なろラジが最終回を…
車持ちの大人な2人に対して、一緒にチョコを作ることを抜け駆けと表現するむっくんが、微笑ましいです。 なろラジが最終回を迎えること未だに信じたくないです。 楽しみにしていたトライアングルレッスンのお題…
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