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転生悪役令嬢の筋肉無双  作者: 無印のカレー
学校入学。乙女ゲーム開始

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66話 ラーニングシステム

ずん。


音は、マリアの時よりも小さい。

だが沈み方が、違った。


石畳が、円環を描いて沈む。

割れず、そして崩れず、図形を描くように床が沈降した。


――制御されている。


クラリッサが出した剣は、重力大剣≪アビス・ドミニオン≫。

魔王戦線の禁忌の逸品だ。


装備条件は厳しい。(※単純な所持ではなく、武器として運用するための装備条件。

適性

代償

必要ステータスのチェックを挟んだうえで、魔術制御を行う必要がある。)


リーシャはそれらの条件チェックを全て成立させていない。装備していないからだ。



装備を介さず、一気に重力制御を会得した、


見て覚えたんだ。

それ以外ない。


──あ、あり得りえないんだが。

クラリッサはひきついた。




重力大剣アビス・ドミニオンは、魔王戦線での封印指定マジックアイテム。

使用者の適性を選ぶどころか、適性があっても寿命を削る禁忌の逸品。


魔王戦線の高位魔族ですら、慎重に、命を賭して扱う力。


その効果はひどく単純。


――重力魔法を扱える。


それゆえ、重力魔法を扱うまでに多大な準備がかかる。

熟練度一つ上げるだけでも命懸け。


リーシャは全てをぶち抜いた。





マリアの重力魔法の行使を一度だけ見た。


会得に至るには、それだけで十分だったのだろう。


「お。」


リーシャが、杖を軽く振る。


「ほっと。よっと。」


――ずん。

──ずずん。


足元の石畳が、押し潰されるように凹んだ。


砕けてはいない。

爆ぜてもいない。

ただ、効果範囲に均一に重さだけが増した事が、現象として結果を示していた。


──やはり間違いない。

≪アビス・ドミニオン≫の固有領域。


(……重力魔法だ。

魔王戦線の高位魔族とも比較しても、なんら遜色ないレベル……)


いや、今日が初見だとすると、さらにこれから精度は高まると見ていい。


さらに精度は研ぎ澄まされ、世界はさらに深く沈むだろう。




クラリッサは腕を組み、顎に手を当てて、じっとその様子を見る。


──ラーニングシステム。


ゲームでは主人公リーシャは、レベルアップのほかに、魔法で攻撃されることで魔法をその身に刻み、魔法を会得することができた。


ゲームでは、そこまで強力なシステムではなかった。

取り逃したスキルを入手するための、救済装置。


プラスして、魔術素養を示すフレーバーテキスト。

設定上の、軽い特性


──乙女ゲームだからだ。


魔術の習得難易度を落として、ドラマパートへの没入感を優先したのだろう。





「リーシャちゃんすごいですっ!」


「まあ、いけそうだなって。」

「へー。いけそうでできるもんなんですね。

思いもよりませんでした!」

「みたいねー。」


「ふふっ。」

「ふふふっ。」


二人は、まるで放課後の教室みたいに並んで笑い合っていた


できた人を、できたねって褒める距離感。

難しい問題を解けた友人がすごい。その距離感で。


クラリッサだけが、じっと考え込んでいた。


リーシャは主人公。

このリーシャに対して訪れる困難は、その力に比例する。

序盤でこれなら、ストーリが進めば、もしかしたらとんでもない破滅が訪れるかもしれない。


――それはまだ、兆候ですらないのかもしれないが。


とはいえ。

とはいえだ。


「お嬢様。どうかなさったんですか?」


「いや、重力魔法をリーシャがそこまで制御できるなら、次の段階かなと。」


「はっ。お嬢様。それは絶対やめてください。」


「止めないでマリア。

人にはひいてはいけないことがあるの!!」


「リーシャちゃん逃げて!!!」


「な、なんで!?!?」


「お嬢様は、重力魔法で筋トレをするつもりです!!

リーシャちゃんが重力魔法を会得したと見るや、飢えた獣になってしまわれたのです!!」


「どくのだ。マリアよ。

むうん。

我が覇道の前には、何人たりとも立ち塞がることは許さぬ!!」






マリアの必死の説得があり、泣く泣くクラリッサは諦めた。


「わ、わかったわよ。

友達との小旅行だもんね。

ぐすん。

重力魔法での筋トレは、全てのトレーニーの夢だけど諦めます。

ぐすん。うわあああん!!!」


ずずずず。


クラリッサは鼻をすすった。

ガチ目に泣いていた。


「泣いている……

ね、ねえマリアさん。別に私は」


「いけません。リーシャちゃん。

今日中に帰れなくなります。

魔力枯渇でグロッキーになりたいなら別ですが。」


「そ、そう。」


引き続きクラリッサは、実験を進めた。


もはや隠していなかった。

ショッピングできる街並みを全てスルーして教会に向かう。


「レベル更新するから!!!!」


クラリッサは、筋トレやりたすぎて言語中枢が退化していたので勢いでゴリ押した。


リーシャとしては、ありがたかった。

レベル上げにはお金がかかるので平民には厳しい。


そして確認した。


──レベルは10


(……初期レベル。

魔物は倒していないのか……)






再び小屋。


床は分厚い木材。

ベンチプレスが上がらないリーシャの姿。


「これ、ホントに重い!!」

「がんばって!あとちょっとだよ!リーシャちゃん!!」


クラリッサは少し離れた位置で、椅子に座り、優雅にプロテインをテイスティングしながら、その様子を静かに見ていた。


──筋力、最低限。

耐久も低い。


腕立て伏せがやっとできるレベル。

しれてる。


──魔術素養だけが、異常。

序盤。現時点でこれだ。

今後訪れるであろう運命の規模は、ちょっと想像したくない。


とはいえ、軟弱すぎない?


全部ぶっちぎって指導したい。

非常に、指導したい。


バキっ


椅子の手すりが壊れた。




「今日はありがとね!」

やがて夕方。楽しそうにしながら、軟弱なるものは去っていった。

リーシャは飛んで帰った。


クラリッサは深呼吸を行う。


「リーシャちゃん。飛翔魔術を完全に会得されてるんですね。

お嬢様。今日は色々確認なさってましたけど、成果はありました?」

「まーね。マリアもお疲れ様。」


リーシャの脅威度は粗方判別できた。


レベル。

肉体。

魔術適性。

ラーニングシステム。


ここから成長曲線を予想して、逆算して破滅シナリオの規模を予測しろ。


序盤でこれ。

中盤はどうなる。

終盤は、考えたくもない


クラリッサは、そこまで考えて、思考を止めた。


(……)


(…………)


(………………)


(……よくわかんねーや!!!!)


「ま、いいや。」


その結論は、驚くほど軽かった。




その日の夕暮れのジムは、バーベルの金属音が、いつまでも静かに響いていた。


理論が死んだら、物理で殴ればいい。


よくよく考えたら、ゲーム好きで筋トレ好きだけど、スーパーコンピューターじゃねえから!!!!



結論。

リーシャという変数だけが、致命的に規格外すぎて、全くわからん。





そして、最初の大きなイベントが始まる。


★きらきら★♪ときめき恋の夏合宿編♪

♥〜ドキドキが止まらないっ〜♥だ。

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