表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢の筋肉無双  作者: 無印のカレー
荘厳の議会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/80

55話 激しくやさぐれた聖女の仕事

クラリッサは、お願いをした。


聖女のお願いは小聖だとして、大きな権限を持つ。


「掃除班Aは業務の割り振り。作業効率化。」

「書類整理は書庫担当2名。承認ルートも明確化。」

「信者対応は問い合わせと相談の窓口を一本化。混乱削減。」


流れるように指示をしていく。


クラリッサはやさぐれていた。


──グランディール領に帰ったクラリッサは、やさぐれたまま、やけになって教会内の業務改善を本格的にはじめた。


クラリッサは、司祭マルセルに羊皮紙を渡す。


「これを。」


「あの……これは?」


「設計図です。

グランディール領内に教会を移転します。

規模はこの教会の10倍。

大聖堂に加え、施療院、孤児院、倉庫、宿泊棟……

教会の本部から聖女権限で人員を要請し、移転に当たる費用は全てグランディール領が負担します。司祭、修道者、施療士、書記、管理官……」


費用は膨大だが、すでに美容品における利益の試算は出ている。


原価、流通、継続購入率。

貴族夫人層から下町までを網羅した需要曲線。

それらをすべて踏まえれば、この移転計画にかかる金など、端金に過ぎなかった。


思わぬ大事業に、司祭マルセルは目を潤ませ、胸に手を当てて感謝の祈りを捧げている。


──クラリッサは、それを少し離れた位置から、冷めた目で見る。

(信仰? 悪いけど100%ない。

いや、120%ない。全て下心だ。

影響力拡大のお膳立ては全てしてあげるよ。)




教会の建築が進む。


白亜の外壁は陽光を跳ね返し、基礎は旧来の神殿とは比べものにならないほど深く、広い。

施療棟、孤児院、倉庫、訓練場――すでに街の景観そのものを塗り替えつつある。


その名は、マルセール大教会。


司祭マルセルの名を冠した、グランディール領最大にして、教会史上例を見ない施設だ。


「教会の活動の進捗は?」


「施療と救貧は、計画比九割。

孤児の受け入れは定員拡張中。

巡礼対応は、来月より本格稼働となります。」


「よろしい。報告書は?」


「ここに全てまとめてあります。」


クラリッサは、頷く。


クラリッサは、司祭室の窓からそれを確認しつつ、ティーカップでお茶をたしなみながら、手元の書類を確認する。


孤児院や学舎での信頼。

領民診療や薬草治療。

祭り、集会、炊き出し――共同体の中心としての機能。


活動はそのままに、教会関係者は、知らぬ間に、この領の財と判断と決裁を前提に動くようになる。


世間には、「グランディール領と教会は一体である」

という印象だけが残ればいい。


領民の忠誠。

貴族社会での評判。

後援者の獲得。


――それだけで、十分に元は取れる。


──働け!!神の犬ども!!!神の名を掲げた、従順な歯車ども


(信仰など無駄だ。祈りも、救いも、幻想にすぎない!

そんなものはいらない!!全て殺してやる!!必要なのは、管理できる組織と、掌握できる人心!!)


逆らう者は全て放逐してやる。






さらに改革を進める。


──とはいえ、ボディビル大会の為の教会教義の変更への道は遠のいていた。

……だって既存のものを中から変えるには、派閥作らないと駄目だから。

(面倒くさい……)


その果てしのない道にクラリッサはやさぐれつつ、人員配置、業務改善、資金繰りの方針にさらなる修正プランを加えていく。


一つ一つは、小さな修正。

誰も反対しない。

誰も危険だと思わない。


だが、それらを積み重ねていくと、

組織の“力の流れ”だけが、静かに変わっていく。


信仰心はそのままで、判断と決裁を全部、こちらに寄せる。


──極力今までの教会内の構造を変えないように、気づかれないように見えないところの構造を全部変えて、最終的には教会関係者全員、骨抜きにしてやる!


(秩序は保つ。

混乱は起こさせない。

――その上で、完全掌握。

まあ、過剰になりすぎて内政に影響が出ない範囲で、治安に貢献していただこう。)


すでにクラリッサのお願いと指導が功を奏して、今まで誠意と信仰でしか動かなかったグランディール教会関係者の働きからは、無駄が消えていた。


意味のない往復。

慣例だけで続けられていた手順。

責任の所在が曖昧な作業。


それらが、音もなく削ぎ落とされていく。


(便利ね。適当なことでも神が言っていることにすれば、聖女の啓示扱いで全部一発だもの。誰も疑わない。誰も反論しない。

実際には啓示なんて聞こえた事ないけど。)


無駄な動きが消え、教会関係者たちはへーこらと動きながらも、クラリッサの思惑通りに“最適配置”を作り上げていく。

拒否は許さない。聖女見習い権限のお願いだからだ。


動線、

タスク配分、

優先度、

役割分担。

それらを効率、成果最大化、リスク軽減を第一に据えてられた、教義ために最適化された職業集団。





時がたち。


家族や、領に対して、周囲の貴族が手を出しづらくなった頃。


さらに伯爵領が聖女候補を輩出したという事実が伝わり、グランディール家に、教会勢力の後ろ盾がついた事を示せた頃。









魔王戦線へ遠征する軍部を編成することになった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ