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転生悪役令嬢の筋肉無双  作者: 無印のカレー
荘厳の議会

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53/79

53話 見習い聖女になりました。

「だが一つ問題がある」


「問題?」

(あったかな?問題。)

クラリッサは首を傾げる。


「格だ。

これから作るであろう軍は、アルシェリオン王国の歴史を覆すものになる、いや。全生命のあり方を変えることになるだろう。」


「は、はあ。」

──なんか話がきな臭くなってきた。

クラリッサは表情は変えず、声音も平坦に保つ。


「伯爵令嬢ではなく、別の呼び名が必要だ。」


「いえ、伯爵令嬢で十分だと思います。これ以上の肩書は不要です。」

(あ、やばいかも。全力で避けないと終わるやつかも……!!絶対に拗れる。絶対に話が変な方向に行くやつだ!!)


クラリッサの危機感知能力が最高級に警鐘を鳴らしていた。




「殿下。ここからは私が。」


「うむ。」


「……」

(もうやめて!!私のライフはゼロよ!!!)


教皇代理エルンスト・グレゴリウスの言葉に、レオナールは即座に強く頷いた。

まるで最初からそうなることが決まっていたかのように。そこに澱みはない。


その滞りがないスムーズな受け渡しに、クラリッサは凍りついた。


──やばい。こいつらグルじゃん!!役割分担がクソスムーズなんだけど!?!?



教皇代理は続ける。


「レベル上げの秘術、そして神の加護とも言える肉体。

王都武術家大会における闇社会との癒着の摘発。

魔族への断罪。

ブラッドオーガの討伐。

クラリッサ嬢が“何者”であれ、もはや常人の枠ではない。」


レオナールもその言葉に強く頷くと、重く言葉を継いだ。


「国としてはクラリッサ嬢を“異端”として処分するよりも、制御し、味方として扱う方が遥かに合理的だからな。

その判断は無論、王である父にも確認済みだ。」


「……落ち着いてください!そんなことはありません。全て大したことではありません。そんなの全部レベル上げれば誰でもできるんで!!!全て余裕なんで!!!!」


クラリッサの声は完全に悲鳴。




そして教皇代理は、ゆっくりと立ち上がった。

年輪を刻んだ指が、胸元の聖印を外し、天へ掲げ、手に持つ杖とともに、まるで神殿法を読み上げるかのような、抑揚のない口調で告げた。


「……クラリッサ・グランディール」


「はい。」


教皇代理は震えを抑えつつ、宣言した。


「魔王討伐のための軍を早急に結成し、魔王領へ向かい、魔王を討伐せよ。“魔王戦線の平定”だ。」


「はい。御意に!!」


「そして貴方を——〈聖女候補〉と正式に認定する。」


「はい……?」


空気が弾けた。


「は?」

クラリッサの声が裏返った。


室内が凍りつく。




クラリッサは立ち上がる。


そして強く頷いた。


「お断りします!!!」


レオナールは静かに、しかし確実に逃げ道を塞ぐ声で告げた。


「ふ……俺を前に本当にそれを言うとはな。

エドワードやアルヴェルトから聞いていた通りだ。だがあきらめろ。逃げられん。これは王命だ。」


クラリッサはひくついた。

──おーい、父上

──しれっと裏切るな!!!


クラリッサが激しく睨みつけると、エドワードは激しく視線を逸らしていた。


──殿下も!!

アルヴェルトもまた、一瞬だけ目を伏せ何も言わなかった。味方だと思ってたのに。


「聖女は無理です!!魔王討伐はやり遂げます!!ですが聖女の名は私にはあまりに荷が重い!!せめて父上である、エドワード伯爵に、何かすごい役職つけるとかにしてください!!」


「クラリッサ・グランディール——貴様は今より、“戦場へ出る責務を負った聖女候補”だ。

それに貴様は、もはや野放しにはできんからな。

戦場に送り出し、国の利益として動かすのがいいだろう。」


レオナールの返答に、クラリッサの視界が真っ白になった。


(……これ……聖女が前線へ行く……クラリッサ偽聖女死亡ルートの……あの……)


死のイベントフラグの音が聞こえた気がした。


「あの……」


「どうした?まだ何かあるのか?」




「クラリッサ子供だから、聖女とかよくわかんない。」


レオナールはいい笑顔で告げた。


「だめだ。あきらめろ。」


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