表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生悪役令嬢の筋肉無双  作者: 無印のカレー
荘厳の議会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/80

42話 表彰式後

──表彰式前。


マリアは、大会運営係から、表彰式の段取りを聞いていた。


「優勝者には、白金勲章に加え、王国工房鍛造の武術大会勝者の名を刻んだ公式武器を一振り。

特注品となります。

後日、王国鍛冶師団によって使用者の癖と体格に合わせ、再調整が行われます。

また過去の大会勝者が使用した登録武具に、マリア様の武器が並びます。」


マリアの目が、分かりやすく泳いだ。

「え、えっと……それ、全部……わたし、ですか?」


運営委員係は一切表情を変えず、淡々と頷いた。

「はい。すべて、マリア様に」


「……あの、実は、私の武器って、予選前に壊れちゃって、控室にあった箒なんですけど……!!」


(あれマジで箒だったのかよ。やべえな、こいつ。まじで。)

「……さらに、優勝賞品の副賞として金貨三百枚。」


「さ、三百枚……?……なるほど。」

(まずいです!!そんな金額言われてもそ、想像がいまいちできません!!!!)

マリアは完全に思考停止しており、瞬きの回数だけが増えていく。


その少し後ろで、クラリッサは椅子に腰掛け、傷の手当をしていた。小さく息を吸う。

血を拭い、傷口を洗い、的確に圧迫するその手つきは慣れている。


「……痛っ、あだだだ。」


マリアは説明を半分聞き流しながら、慌てて振り返った。


「ク、クラリッサ様! だ、大丈夫ですか!?大体、無理しすぎですよ!なんでオーガとなんか殴り合うんですか!人間やめすぎですから!!」


「ちょっと舐めてたわ。行けると思ったのよ。

それに怪我する事は今までもよくあるじゃない。トレーニング中とか。」


「こんなたくさん殴られて、青痣ばっかになったのは、初めてです!!

これ何日か、静養にあてないとならないんじゃないですか!?!?

どれも、武術大会とは関係のない傷です!!エドワード様とマルグリット様には、しっかり報告しますからね!!!」


「階段で転んだようなものよ。いいわよ。これくらい。唾つけとけばなおるもの。

それに母上って、小言うるさいのよ。」


「大怪我は、唾つけて治るわけがありません!!」


「それでね、新しいトレーニング考えたの。魔物使ったやつなんだけどね?」


「流れるように話を変えていますが、全く話が終わっていません!!!!」




「今回ばかりは、マリアの言う方が完全に正しいかな。我が妹よ。

正直に言えば――肝が、冷えた。

オーガの異常種。あれはもはや、力の大小で語る存在ではない。災厄と呼ぶほか、言葉がない。」


セドリックだ。


控え室の隅で、包帯を巻き終え、深く息を吐いた。

彼の声には、兄としての心配と、戦士としての冷静な評価が混じっていた。


「はい。お兄様。単なる大型魔物の延長個体だと思って、少し舐めていたところは否定できません。

より厳しいトレーニングを自分にかさなければ。」


「さすがだ、クラリッサ。頭のネジが外れたまま、それを拾い上げる運命が、君を前にして、とうに職務放棄している。」


エドワードはふらりと一歩よろついた。

「お兄様。大丈夫ですか?」


「ふ。魔力枯渇だ。あのオーガを縫い止める為の魔術運用はそこそこ応えたようだ。」


流石のセドリックも限界が近いようだった。

その声音には、静かな疲労が滲む。


「まあ、よくやったよ。クラリッサ。そしてマリアもね。」


セドリックは、顔色は白く、立っているだけで精一杯だったが、クラリッサの頭をくしゃくしゃにした。




祝祭は、もう目前にして、外からは、再び大きな歓声が響いてくる。


「ところで、お父上は?」


「どうも、緊急の招集がかかったらしい。

議会だ。すぐ戻るとは言っていたが……少し、遅いな。」





そして表彰式の後、第二王子アルヴェルト・アルシェリオンが、深刻な表情をしながらクラリッサの元を訪れた。


彼に案内され、そこへと辿り着く。





クラリッサが辿り着く前。


議会会場。


詰問。


エドワード・グランディールは、それを受けながら、全ての準備を終えられている事を感じ取った。


老獪な貴族が冷酷な狩人のように団結していた。

まるでようやく餌にありつけた獣のように、安全地帯を確保しながら、むさぼるように。


「──以上の事実。全て事実であると認識してよいな?」

「はい。相違ありません。」


エドワードの返事は淀みない。

エドワードは、事実を告げる事が、クラリッサの不利になることがわかっていても、虚偽発言は許されない。


発言の瑕疵をつくのは貴族のお家芸。

仮に虚偽発言が発覚すれば、もはや取返しはつくまい。




貴族たちは、その齢12でしかない深層の令嬢の入室を、狩人の目で待って受け止めた。


クラリッサ、グランディール。


淡い象牙色のドレス。

仕立ての良いスカート。

袖口には花を思わせる意匠


幼い可憐な装いの下で、理解と胆力の違和感が揺れていた。

ふてぶてしいまである不敵なオーラを、隠そうともしない。


「あらあら。皆さま。すでにこんなにたくさんお集まりで。

よほど大切なお話合いをなさっていたんですね。」


クラリッサは平然と、深く息を吸い込み、なんなら、一切おもねる事なく、貴族全員を正面を小さな体で見据えていた。



竜虎相なった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ